君が思い出すまで4【煉獄杏寿郎】

154.君との時間 ページ4

誕生日の贈り物について


　杏寿郎さんからのリクエストは未だにこず…


　誕生日の前日を迎えてしまった。



　私が居間で洗濯物を畳んでいると、

　杏寿郎さんがやってきて、腰を下ろした。


「A、君が以前言っていたことだが…。」


「…はい？」


　杏寿郎さんは咳払いをひとつする。


「以前、君は俺に欲しいものはないか尋ねただろう？


　欲しいものが決まったんだ！」


「本当ですか？何でしょう？」


　杏寿郎さんは私に向き合うと、両肩を掴んで


　じっと私の目を見つめる。


「君との時間が欲しい。


　君が欲しいものを尋ねたのは…


　明日が俺の誕生日だからだろう？


　だから、明日は１日、君との時間が欲しいんだ。


　いいだろうか…？」


「…それでよろしいのですか？」


「うむ！何か物よりも君が欲しい！！」


　あまりに大きな声で言う物だから、

　家中に杏寿郎さんの声が響き渡った。


「…ちょっ、ちょっと恥ずかしいです！！！」


「なぜだ！」


「逆に何で分からないのですか〜！！！」


　杏寿郎さんは照れる私をよそに快活に笑う。



「ところで、杏寿郎さんって

　明日でいくつになるのですか？」


　杏寿郎さんは大人っぽいからなあ…


　もうすぐ出会って1年くらい経つのに


　年齢すらちゃんと聞いていなかった。


「俺か？俺は19になる！」


「え！？あっ！そうなのですね！！」


「なんだ！それはどういう反応だ！」


「いや、えっと、杏寿郎さんは大人びているので

　20歳をこえているのかと…って失礼ですよね！

　すみません。」


「いや！貫禄があるということだな！

　俺は嬉しいぞ！

　男たるもの、威厳がある方がいいだろう！」


　失礼なことを言ってしまったかなと思われたが、

　本人が嬉しそうに喜んでいるからいいか…。


　
「では、明日は俺に付き合ってくれ！」


「分かりました！」


　
　
　楽しそうにニコニコしているものだから


　つられて私も笑みが溢れた。

　


　
　
　

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