検索窓
今日:14 hit、昨日:6 hit、合計:146,023 hit

151.渡された札 ページ1

 燃ゆるような新緑が

 いのちの息吹を感じるようになった頃。


「春過ぎて〜 」

 バンッ

「はいっ」

「あ〜、また取られてしまいました〜!


 Aさん、強過ぎます!」


「えへへっ、時間がある時に覚えたんです!」


「Aさん!すごいですね!

 僕なんてまだ全然覚えられません!

 兄上も強いので、いつか二人でやってほしいです!」



「ん?俺がどうした?」


 自室から隊服に着替えた杏寿郎さんが居間へやってきた。


「兄上!兄上が出立するまでと、

 Aさんと小野寺様とで百人一首をしていました!」


「炎柱、お邪魔しております。」


「そうか!百人一首か!懐かしいな!」


 そう言うと杏寿郎さんは私のそばに腰を下ろす。


「杏寿郎さんも百人一首よくなさったのですか?」


「ああ、今はあまりしないがな!

 よく覚えたものだ!」


「炎柱は好きな歌はありますか?」


 小野寺さんに問われた杏寿郎さんは、

 う〜んと、顎に手を当ててしばらく考えた後、

 札を手に取り、私に渡した。


「良いと思うのはいくつかあるが、今はこれだな。」



 私は何の歌だろうと、渡された札を目で読む。



 『陸奥の しのぶもぢずり 誰故に


  乱れそめにし われならなくに』




 "陸奥で織られる

「しのぶもぢずり」のすり衣の乱れ模様のように、

 乱れる私の心。いったい誰のせいでしょう。

 私のせいではないのに(あなたのせいですよ)"

 



「えっ!?」




 私は思わず赤面して変な声をあげる。


 小野寺さんは私の反応に不思議に思い、


 私の手にしていた札を覗き込む。



「炎柱…!!」


 小野寺さんも顔を赤くするものだから、


 千寿郎くんは気になって仕方がない。


「何ですか?何の歌ですか?

 どんな意味の歌なのですか!?」

 
 杏寿郎さんは千寿郎くんの頭を撫で、

 自身の唇に人差し指を当てて小声で呟く。


「千寿郎、内緒だ。

 いつかお前にもこんな相手が現れるだろう。」


 そう言い、杏寿郎さんは立ち上がると

 羽織をかけて小野寺さんに告ぐ。



「小野寺!俺は今から柱合会議に向かう!

 君は先に現地へと向かい、

 鬼の情報を集めておいてほしい!

 会議が終わり次第、俺もすぐに出立する!」


「承知しました!

 では、また現地で。」



 

152.贈り物→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (384 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
427人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

狐姫(プロフ) - 衣世さん» 苦しいですね…。書いていても辛いです泣 叫んじゃってください〜!! (2021年11月3日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 更新ありがとうございます!杏寿郎ーー!!切ない、苦しいですね(ToT)うあぁぁぁ(TдT)叫ばずにはいられません泣 (2021年11月3日 18時) (レス) id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - akiomiさん» はじめまして。コメント嬉しいです!ありがとうございます。溶けてしまいたいですね…笑 応援ありがとうございます!引き続きお楽しみくださいませ! (2021年11月3日 12時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
akiomi(プロフ) - 初めまして。切なくてどうしようもない気持ちになり、コメントしてしまいました!雪になって、私も溶けてしまいたい笑 続きも楽しみにしております。これからも応援しています! (2021年11月3日 11時) (レス) @page45 id: 15912deccb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - ろろろーさん» はじめまして。コメントありがとうございます!胸を締め付けるようなお話ばかりで申し訳ないです。嬉しいお言葉、ありがとうございます!更新、頑張りますね! (2021年11月3日 10時) (レス) @page45 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月23日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。