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110.取れないように ページ10

「ただいま戻った!」

 次の日の昼間、

 久しぶりに煉獄家に快活な声が響いた。


「…お!おかえりなさい!」

 私は慌てて玄関へと駆けつける。

 そこにはいつもと変わらない杏寿郎さんの姿があった。

「A、しばらくこちらの家に帰らず、すまなかった!

 皆、元気か?」

「…はいっ!元気です!!」

 久しぶりに会うからか、緊張してしまい、

 思わず声を張り上げてしまった。


「うむ!良い返事だ!!」


 なんだろう…やっぱりなんかぎこちない。




 モヤモヤしていると、

 奥から千寿郎くんが駆けつけてきた。



「兄上!おかえりなさい!

 随分とお召し物が汚れていますね…。

 お風呂の準備急いでしますね!」

 千寿郎くんはそう言うと、駆け足で風呂場へと向かった。


「…きょうじゅ」

「なんだ!どうした!!」

 食い気味に返事をする杏寿郎さんは、

 どうも目が合わない。



「…いえ、お勤めご苦労様でした!

 今日はもう、この後にお仕事はないのでしょう?」



 杏寿郎さんは、玄関で靴を脱ぎ、

 上がったと同時にこちらへ身体を向ける。


「…なければ良かったのだがな。

 夕刻にまた出立する。

 
 先程、産屋敷邸にて親方様から任務を依頼された。

 数名の隊士を向かわせていたが、やられたとのこと。

 聞く話によると、人混みに紛れるのが上手いらしい。

 かなり強敵のようだ!」




 また行かれてしまうのか…。

 杏寿郎さんは私の肩に手を置くと、

 
「少し、長期の任務になりそうだ。

 すまないな。家を頼む!」

 
 と、申し訳なさそうな顔をした。






 湯浴みを終えた杏寿郎さんは、

 うまい!うまい!と大きな声で昼餉を召し上がる。




 私は洗濯物を取り込み、居間で畳んでいると、

 杏寿郎さんの隊服の第一ボタンがとれかけているのに

 気がついた。


 今日の昼まで着ていた隊服は

 まだ洗濯していないしなあ…


 夕刻にまた任務に出かけると言っていたから

 ボタンつけてしまわないと。


 私は木箱から、お裁縫用具を取り出して、

 丁寧にボタンつけをする。



 いつもこの服を着て、


 人々を守っているんだ。


 取れないように、きつく、きつく、糸を張る。



 流石に任務の前にあの話はできない…


 任務から帰ってきたら、お話をしよう。



 

 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月16日 14時

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