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145.太陽のような手 ページ45

「甘味処?」


「そうだ!良かったら一緒に行かないか?」


 それは春の暖かい日差しを

 感じられるようになった日のこと。


 杏寿郎さんは私に

 任務前に甘味処へ行かないかと誘ってきた。


「良いのですか!?ぜひ行きたいです!」


「うむ!最近美味しいと有名な甘味処ができたらしい。

 俺の知り合いが教えてくれた!」


 久しぶりのお出かけに私は心が弾んだ。


 私は朝餉を食べ終えると、急いで洗濯物を干し、

 出かける準備を始めた。


「…よし!」


 橙と薄桃色の着物を着て、


 薄く紅をひき、


 簪をさして、



 杏寿郎さんが待つ玄関へと向かう。



「お待たせしました!」


 杏寿郎さんは私の姿を見るなり口を開く。


「いけない!!!!」


「…え!?」


「そんな姿では君を連れていけまい!!!!」


 あれ?何かおかしかったかな…。

 私は自分の身なりを見直す。


 すると、いきなり両肩を掴まれて

 鼻と鼻がくっつくくらい近い距離で囁く。




「そんな可愛らしい姿で街を歩いたら

 

 他の人がAに見惚れてしまう…。」


 え、ええ!?


「そ、そんな!!



 そんなことあり得ませんよ!


 …それに、百歩譲ってそんなことがあったとしても


 私が可愛いと思われたいのは…


 杏寿郎さんだけ…ですから。」

 
 私が恥ずかしくなって俯くと、

 
 杏寿郎さんは、顔に手を当てて

 珍しく耳を赤くしている。



「はあ…君って人は。」


 


 

 家を出て、甘味処までの道を歩く。


 美味しいと有名な甘味処は、駅前にできたらしい。


 
 私の右隣の彼は、まっすぐ前を向いて歩いている。


 私は手を繋ぎたくて…


 おずおずと彼の左手に触れてみる。



 少し触れただけ…



 彼は何もしてこない。



 流石に人通りが多くなってきたし、諦めようかな…。



 私が右手を引っ込めようとした時、


 ぎゅっと手を握られた。




「君はすぐにはぐれてしまうからな。

 しっかりと繋いでおかなければな!」


 そう言うと、子どものような笑顔を向けられた。

 
「はぐれないように努めます!」


「うむ!」


 大きくてあたたかい手。男らしくてゴツゴツとした手。


「私、杏寿郎さんの手が大好きです。」


「ん?」



「太陽みたいで…


 暗いところにいても、


 人を照らして引っ張り出してくれるような…


 あなたの手が大好きなんです。」

 





 
 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 煉獄杏寿郎 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 朱乃さん» はじめまして。コメントありがとうございます!煉獄さん本当に素敵な人ですよね〜!ドキドキさせられているのであれば光栄です!今後も皆様が入り込みやすいようなストーリー作りに努めますので、ぜひお楽しみくださいね! (2021年10月22日 20時) (レス) @page47 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
朱乃 - 初めまして。私も煉獄さんが大好きで、妄想恋愛をするくらいなので、(きゃー恥ずかしい)こんなことが本当にあったらいいなーと毎回ドキドキしながら読んでます!続き楽しみです! (2021年10月22日 19時) (レス) @page46 id: 6c032548ee (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - さこさん» はじめまして。コメントありがとうございます。煉獄さん、素敵ですよね!キュンキュンしていただけて嬉しいです〜!最後までぜひお付き合いください! (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
さこ(プロフ) - 初めまして。私は煉獄さんが大好きなので、キュンキュンしながら読ませてもらってます(^^)続きがすごく楽しみにしてます(^^) (2021年10月20日 21時) (レス) @page41 id: 8c0425346a (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 衣世さん» はじめまして!コメントありがとうございます。もどかしいですね…書いている私も胸を締め付けられています…笑 皆様が流れで読みやすいよう、更新頑張っております!引き続き、お楽しみください。 (2021年10月17日 11時) (レス) id: d8f3f4bc3f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年10月16日 14時

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