君が思い出すまで【煉獄杏寿郎】

4.トンネル ページ4

ーガラガラー

「おはようございます…」

　この声は、最近、学級になかなか行けず、

　保健室登校になっている坂田くんの声だ。

「おはよう！今日も頑張って来たね！

　今、担任の冨岡先生に連絡するからね！」

　坂田くんは高校2年生の子で、

　今年に入ってから学校に来られなくなってしまった。

　理由は自分でもわからないようで、

　少しずつ保健室にいられる時間が増えて来ているところだ。



「先生、俺、今日は一応昼までの予定…です。」

　坂田くんの家族は現状を理解してくれてはいる。

　ただ、なんとなくこの状況が続いてしまっていて、

　なかなか進展はしない。

　学校に来られるようになっただけでも、

　すごくプラスなのだが…

　今後どうなっていきたいかを彼や、家族、担任と

　考えていかなければならないと思っているところだ。



　私自身は正直言って学校は絶対だと思わない。



　けれども、本人に少しでも

　学校で頑張りたいという想いがあるのならば、

　全力で協力はしたいと思っている。




　なかなか見つけ出せない長いトンネルの出口を、


　彼自身も、私も必死でもがきながら生活している。

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