君が思い出すまで【煉獄杏寿郎】

20.鬼とは ページ20

翌日、無事に退院することができた私は、

　煉獄さんと共に煉獄さんの生家に向かっていた。


「A…と言ったな。傷口はもう痛まないか？」

「少し痛みますが、このくらいへっちゃらです！」

　背中の傷のため、自分で確認することはできないが、

　ヒリヒリする面積が広いことから、

　相当な傷であることは予想された。


　嫌だなあ…嫁入り前なのに。



「すまない。俺がもう少し早く来ていれば、

　君にそこまでの怪我を負わせずに済んだのだが…。」


　目を伏せる彼の顔があまりにも綺麗で、

　見惚れてしまった。


「そんな…気になさらないでください。

　あなたのせいではないですから！

　それから…聞きたいことがあるのですが、

　鬼と言うのは本当ですか？

　御伽噺でしか聞いたことなくて…」


「鬼はいる。君は鬼に襲われたが、記憶にはないのだな。

　奴らは人を喰う。俺たち鬼殺隊は鬼を滅することが責務。

　ただ、鬼殺隊は国の公認の組織ではないから、

　あまり知られていないのやもしれぬな！」


　そうなのか…。


「鬼はどうしたら倒せるのですか？」


「鬼はこの日輪刀という特殊な刀で首を切るか、

　陽光に当たれば死ぬ。」


「なるほど…。あまり想像できないです。」



「ははっ！そうだろうな！鬼には遭遇しない方が良い！


　そうだ！手を出して。」



　言われた通り手を差し出すと、小さな御守りをくれた。


「御守り？」


「ああ、この御守りには藤の花が入っている。

　鬼は藤の花が嫌いだから、鬼避けになる御守りだ。


　持っておくといい。」


「ありがとうございます。」


　小さな御守りの匂いを嗅ぐと、ふんわりと藤の花の良い匂いがした。

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