誤算の連鎖 ページ46
__________現れる鬼。斬る隊士。流れる赤。懐かしく吐き気のする紅。
夜の帳に浮かぶ月は憎たらしい程に輝き、とてもいい夜だと上から目線の、この時に。
空髪の青年は、ギリ、と奥歯を噛み締めて吠えた。
____何故、ここまでする、と。
念のためと張っていた防護術式は鬼による攻撃で穴が空き、街から悲鳴が上がった。対応は、出来ない。
手を離せば、ここから離れれば、もっと多くの人間が死ぬ。ならばここにいたほうがいい。
合理的に考えただけだ、屁理屈ではなく正論であろう。
だが何故、こうも鬼が減らないのか。
何故、こうも隊士の死骸が転がるのか。
_____そうだ、この苦戦の要因。圧倒的な人数不足。
そして、もう一つの要因。
_____もう一度、言おう。
「_____なんで、たかが街一つに"50以上"の鬼が来るんだよッ!!」
その海色の瞳は、焦りと怒りで揺らめいていた。
_______________
_________
「……お兄さん、お花屋さんなの?」
コロリと幼い声が足元で響いた。
手元に持つ花束で見えなかったのだ。だが確かに、この声は幼い少年の声であった。
「ふむ……まぁ、そうなるのかね?」
少しだけ考えて、花を抱える青年は答えた。
「そ、それじゃ一本買ってもいい?」
顔を赤らめ、モジモジと恥ずかしそうにする様な声に、青年はもう一度考え込み。
_____嗚呼、プレゼントか、と納得。
「勿論なのだよ。どれがいいのかね?」
す、としゃがんで、手に持った花束を見せていく青年。だが、少年が釘付けになったのは花ではなく、彼の容姿であった。
「_____お兄さんの髪の毛と目の色、"青い"ね」
無垢な子供の、純粋なる問い。
一瞬だけ動きが止まった青年に、お兄さん?と舌足らずな声が呼んだ。
「……ふふっ、そうなのだよ。生まれつきでね、とても綺麗だろう?」
「うん!僕、お兄さんの髪の色と目の色、好き!」
「ありがたい事なのだよ」
ニッコリと笑う青年に釣られ、少年もあどけない笑顔を浮かべる。
そして、少年は、お兄さんの選んだ花がいい、と小さい手で握られた小銭を差し出した。
呆気にとられた青年、そんな少年に眉を八の字に曲げて。
「お金は要らないのだよ。ワタシの好意として受け取り給え」
そうして、青紫の花を、少年の手にしっかりと握らせた。
ポカンと固まった少年。けれど直ぐにパッと花が咲く笑顔を見せて、駆けて行った…………
466人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時