百十四話 刀鍛冶なる者 ページ36
「私は
す、と綺麗に礼をするひょっとこ面、改め鋼森塚。
日輪刀を打つ鍛治職人として顔を隠すのがセオリーらしく、またそれもひょっとこと決まっているらしい。
Aは、少しトラとウマが心の中で暴れ回った。
「お、おうサンキュな………」
冨岡の後ろにへばりついて離れないAに、冨岡はむっと顔をしかめて。
「離れろ」
_____べりっと引き剥がした。
しゅん、と柱の力で引き剥がされればなす術もなく(抵抗出来るが)項垂れるAに、目の前のひょっとこは包みから刀を取り出して。
「それにしても、まさか"写し"を作れとは思いませんでしたよ。大体は一から作るものですから」
そう、大変でしたと呟く鋼森塚に、冨岡。
「………写し?」
初めて聞いたぞそんな事、と。
Aをジトリと睨む。
_____そんな空髪は楽しげに揺れて。
「俺の"刀は刀として機能しねぇ"からさ。持ってても意味ねぇから写しにしようと思って」
そう笑うAに、冨岡は、……?と首を傾げる。
「_____はい、どうぞ」
鋼森塚が、鞘に納められた刀身を手渡す。
柄の部分や鍔は一応オリジナルらしい。"あの刀"とは別のものだ。
どれも白く、そして淡い水色の三角と逆三角を合わせたような鍔。
そっと渡された刀を手に取り、その重さを確かめる。
ずっしりと手にかかる圧に、本物の刀だとAはシミジミと感じた。
「刀身を鞘から抜いてください。そうすれば、色が変わります」
鋼森塚の説明に、Aは、ふむと頷く。
鞘から抜けば色が変わる。
まるで酸化だなと思ったのだ。
_____元の世界にも似た様な事もあったし今更なのだが。
それでも魔法の無いこの世界で、そんな魔法みたいな事があるとは、本当に興味深い世界だなと。
Aは、白い鞘に入った刀身を見据えて、思った。
466人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
極暇人(プロフ) - いえいさん» コメントありがとうございます!天才だなんて恐れ多い……!とても嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2020年2月1日 6時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
いえい - やっぱめちゃくちゃ面白いです!主さん天才!(^o^)更新頑張って下さい! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 482fd09204 (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 雨鷽さん» コメントありがとうございます!応援コメントは糧になりますので、本当にありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2020年1月22日 18時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - とても面白かったです!新しく更新されていたところを毎日見てますwこれからも更新頑張ってください! (2020年1月22日 18時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
極暇人(プロフ) - 大木さん» コメントありがとうございます!よくよく考えればそうですね、すいません……訂正しておきます。これからも宜しくお願いします! (2020年1月17日 13時) (レス) id: d0beec2789 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:極暇人 | 作成日時:2020年1月14日 20時