違うんだよ【狗巻棘】

２０ ページ33

『似てるけど、違うんだよ』



自分の気持ちも、狗巻の気持ちも考えずに振った



最低だ



あんな理由で振られて、狗巻も納得がいかないだろう


自分が勝手に過去に囚われていて、過去を恐れて


自己満足なのは分かってる


これで人を殺した自分から、狗巻を守れたとか


狗巻を殺さなくてすんだとか


そんなのは全部自己満足で


自分のことしか考えてなくて、もしもが怖いから、狗巻の気持ちなんか見なくて


最低で、最悪で


分かってるよ




でもさ




───────こわいんだよ




·



「なんで彼方先輩がいんの？」


「それは〜、今から君達と任務だから〜」



狗巻とあんなことがあった次の日


私は一年三人と任務が入っていた


一年が私と任務だと知らないということは、さては五条センセーが言ってなかったな


あの人会ったときからいい加減なんだよね、ホントに教師？



「はい伊地知さん端末」


「は、はい」


ちょうど信号待ちになったタイミングで、隣で運転をしている伊地知さんから今日の任務について記されている端末を受け取った


「えっとね、今から向かうのは約二階建ての廃墟で、私達の任務は呪霊を全部祓うこと。呪霊は、三級とか四級くらいのザコかなぁ〜？んで、メンバーは私、伏黒、釘崎、虎杖君の四人で〜す！」


「まぁ、相手は三級四級のザコだし、二級の伏黒と三級の釘崎、宿儺の器の虎杖君と、準一級のめちゃめちゃつよーい彼方Aちゃんがいれば楽勝でしょ」


「自画自賛してんじゃないわよ」

「なぁなぁ、なんで俺だけ君付けなの？」

「彼方先輩は警戒してる人には君付けしたりちゃん付けしたりする癖がある」



うちの後輩辛辣じゃない？


っていうか、その癖無自覚だったんだけど。なんで伏黒知ってるの？こわーい



「というか彼方先輩。説明がザックリすぎやしませんか」


「んなこと言われてもさぁ、こうやって書いてあるんだもん。それに説明は分かりやすい方がいいでしょ？」


「そうですけど···」


「ま、ちょっと端折ったけどね」


「かなり端折りましたね」


ちゃんとしてください、なんて真面目なこと言う伏黒


もー、真希さんといい伏黒といい、禪院家は皆真面目なの？


私真面目なの嫌なんだよね〜



「着きました、ここです」

２１→←１９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す