検索窓
今日:13 hit、昨日:54 hit、合計:394,040 hit

19 ページ32

「パンダ!もっとスピード上げろ!」


「もう限界だ!」



悟からAの過去を聞いた私達は、教室までの廊下を爆走していた


─────Aは、自分の瞳を人に見せない


任務で呪眼を使っても、私達に見られる前に隠す


そして今まで、Aは自分の事を語ることはなかった



その理由に、こんな重い過去があったのか···


あんな重い話、棘一人で受け止めきれるわけがねぇ


棘に任せたことを、後悔していた


私が、怖がらずに、Aから聞けばよかったんだ


────逃げなければ、よかったんだ



·



「棘っ!」


教室のドアを開けると、教室には、ぼーっと突っ立っている棘しかいなかった


Aはいない


「棘?」


パンダが棘の背中に手を添えると、棘はいきなり座り込んだ


「棘!」


顔を除き込むと、棘は、瞳から大量の涙を流していた


「おかか、いくら」


『受け止められなかった』


震える棘の声に、私は唇を噛み締める


─────あぁ、棘にも受け止めきれない程だったのか


A本人から聞いた棘は、どう思っているのだろうか


どんな思いで、聞いたのだろうか



─────Aは、どんな表現で話していたのだろうか



「おかか」


『ふられた』



悪い方向にしか行かない状況に、イライラと悔しさが募る



────棘はずっと、Aが好きだった


それを知っていて、早くくっ付けと思っていた私達は、棘をしょっちゅうからかっていた



『気付いたら好きになっていた』



『喋れない自分の為に、おにぎり語を理解してくれようとしてくれたり、理解できないのに、色んな方法で自分と向き合ってくれる』




好きになった理由も、好きな所も言える棘は素敵だと思う


好きな所が数えきれない程あるという棘は、ナニかを抱えているAを支えてやれると。


幸せにしてやれると、思っていた



「···」


涙を流す棘に、かける言葉が分からなかった私達は、そっと、棘の背中を擦った

20→←18



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (150 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
505人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 狗巻棘
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

征羅(プロフ) - ぷっちさん» 泣けるだなんて・・・ありがとうございます。その辺のキャラの感情を文字に現すのが難しくて自信が無かったのですが、そう言って頂けると自信が持てます。こちらこそありがとうございます! (2021年3月9日 0時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
ぷっち(プロフ) - 凄く泣ける話ですね...。支えようとして支えきれなかった棘くんやパンダや真希ちゃんの虚しさや悲しさがとっても伝わって来てポロリと泣いちゃいました。これからどうなるのかが楽しみです!素敵な作品をありがとうございます!応援しています! (2021年3月8日 23時) (レス) id: 08c7b31625 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - 鹿毛さん» こんにちは。そんなに褒めていただけてとっても嬉しいです!テンポ重視にしてるので、そこ褒めてもらえると嬉しいですね。尊敬なんてそんな・・・ありがとうございます (2021年3月1日 15時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)
鹿毛(プロフ) - こんにちは。セリフのテンポが良くて読みやすいです!特に4話のレントゲンの発想が今までになくておもしろいですね!パンダくんの「おまえ酷いこというな」の流れもとてもきれいに嵌まっていていてマジ尊敬です…… (2021年3月1日 14時) (レス) id: 67d713f823 (このIDを非表示/違反報告)
征羅(プロフ) - 猫築かなめさん» ありがとうございます。原作メンバーが夢主をどう思ってるのかはもう少しして書こうと思っています。更新頑張ります (2021年2月28日 21時) (レス) id: 44f8e3471a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:征羅 | 作成日時:2021年2月23日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。