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 ぷるるるるる。



 しかし、試合が始まる直前というところで、異質な音が鳴り響いた。部屋の真ん中に置かれている木製のテーブルの上で、携帯のバイブが振動してがたがたと揺らしている。私に電話をかけてくる人物など、2人しかいない。

 試合は気になるが仕方がない。フィディオなら後でにしてもらおうと携帯を開いたところで、私は目を見開いた。



 電話の相手は瞳子姉だ。



 すぐに応答ボタンを押す。瞳子姉が電話をかけてくることは滅多にない。何か情報を掴んだのだと考えて間違いない。
 


「瞳子姉?」
『A!』


 
 お互いの名前を呼ぶのはほぼ同時だった。瞳子姉の声を聞くのは久しぶりだ。だが、いつもの平静さは無く、声には焦りが滲んでいる。


 
「瞳子姉、何かあったの?」
『エージェントが、動き出したわ!』


 
 私の問いかけに寸分の余白もなく、瞳子姉は切り込んできた。エージェント?驚愕に目を見開き、うそだ、という言葉が小さく溢れた。もうすぐだとは思っていた。だが、今なんて!

 テレビを見れば丁度準決勝が始まったところだった。楽しみにしていた試合だが、見る余裕はもうなくなってしまった。彼らが勝てますようにと心の中で祈り、思考をこちらへ完全に戻す。

 瞳子姉は私のこぼした言葉に、いいえ、本当よ、と言い聞かせるように返答すると、落ちつかせるような声音で説明した。




『今私は三重にいるの。エージェントを大阪の方で偶然見つけて、しばらく尾行していたのよ。…そして、わかったことがある』
「……!?何がわかったの!?」
『いい、A。落ち着いて聞きなさい』



瞳子姉はそこで一息ついて、言った。
 


『エージェントは中学校を偵察している。それも……フットボールフロンティアで出場し、勝ち上がったチームを次々とね』

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彩夏(プロフ) - Aoiさん» 大変かと思いますが応援しています! (2022年9月11日 10時) (レス) @page24 id: 67c757144e (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - 彩夏さん» 彩夏さま コメントありがとうございます。とても嬉しいです。本当にいよいよというところで、私も楽しみですしわくわくしています……。お待ちいただきありがとうございます。どうぞお楽しみにお待ちください。 (2022年9月11日 0時) (レス) id: f51011eb5a (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - いよいよですね!展開が楽しみです! (2022年9月10日 23時) (レス) id: 67c757144e (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - ヒマリさん» ヒマリさま 長い間ご覧いただき、そして応援してくださり、本当にありがとうございます。拙い文章ですがお楽しみいただけたら幸いです。随時更新していきますので、どうぞお楽しみにお待ちくださいませ。 (2022年7月15日 20時) (レス) id: 0783a9abb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリ(プロフ) - 続編おめでとうございます。ずっと前から応援していた作品なのでとても嬉しいです。これからゆっくり読み直しにいこうと思います。これからも応援していますので、作者様のペースで更新して頂けますと幸いです。 (2022年7月15日 20時) (レス) id: ba87716a36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Aoi | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aika398/  
作成日時:2022年7月3日 2時

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