検索窓
今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:23,864 hit

02 ページ20

 神崎A。豪炎寺と共に転校してきた、2年A組の女子生徒。

 先週行われたフットボールフロンティア全国大会準決勝、木戸川清修戦当日の朝に返信されたメールをきっかけに、神崎との連絡はぷつりと途絶えた。メールを送っても返答は無く、電話に応答も無い。神崎と連絡が取れなくなった日から、既に五日が経とうとしていた。






 昼休みになり、円堂をはじめとした数人の生徒が教室に集まり、深刻な面持ちで向かい合っていた。円堂の他に集まったのは豪炎寺、鬼道、風丸、木野の四人。神崎と特に親しく接していた者たちだ。重い沈黙が続き、各々の表情は暗く下を向いている。見かねて話を切り出したのは、まだ神崎と接するようになって日も浅く、冷静に状況を分析していた鬼道だった。



「神崎は、また欠席か」
 


 同じクラスの三人は静かに頷く。違うクラスの風丸はそっと一番後ろの窓際にある席を覗き見た。

 机の中や上にあった筆記用具や教科書、体操着などの道具が全て無くなっている。落書きなども無く、綺麗に整頓された机がぽつんとそこに佇んでいる。先週まで居たのが信じられないほど、神崎の痕跡は一つ残らず消されていた。



「Aちゃんが欠席して、もう五日が経つわ」
「神崎と連絡は?」
「取れないままよ。私も豪炎寺くんも何度も電話したんだけど、全然繋がらないの。それどころか……コール音にすらならないのよ。電話しても、電波の繋がらない場所にあるか、電源が入っていないかのどちらかだって。電話し始めてからずっと」
「呼び出しすら出来ないのは……気にかかるな」
「鬼道、俺も電話したぞ。でも、木野と同じだった。メールも送ってるけど全く音沙汰が無いんだ」



 風丸が木野の言葉に賛同し付け足す。神崎の欠席を不審に思い始めてからメールを数回送ったが、どれも返事はない。

 だが、準決勝当日の朝には神崎からの応援する内容のメールが届いていた。サッカー部の面々にも尋ねたが、他にも多くの部員が神崎からのメールを受け取っている。あの日の朝までは、確かに神崎は存在したのだ。

03→←第19章 追憶に潜む二つの原点 01



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (107 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
940人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

彩夏(プロフ) - Aoiさん» 大変かと思いますが応援しています! (2022年9月11日 10時) (レス) @page24 id: 67c757144e (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - 彩夏さん» 彩夏さま コメントありがとうございます。とても嬉しいです。本当にいよいよというところで、私も楽しみですしわくわくしています……。お待ちいただきありがとうございます。どうぞお楽しみにお待ちください。 (2022年9月11日 0時) (レス) id: f51011eb5a (このIDを非表示/違反報告)
彩夏(プロフ) - いよいよですね!展開が楽しみです! (2022年9月10日 23時) (レス) id: 67c757144e (このIDを非表示/違反報告)
Aoi(プロフ) - ヒマリさん» ヒマリさま 長い間ご覧いただき、そして応援してくださり、本当にありがとうございます。拙い文章ですがお楽しみいただけたら幸いです。随時更新していきますので、どうぞお楽しみにお待ちくださいませ。 (2022年7月15日 20時) (レス) id: 0783a9abb5 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマリ(プロフ) - 続編おめでとうございます。ずっと前から応援していた作品なのでとても嬉しいです。これからゆっくり読み直しにいこうと思います。これからも応援していますので、作者様のペースで更新して頂けますと幸いです。 (2022年7月15日 20時) (レス) id: ba87716a36 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Aoi | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aika398/  
作成日時:2022年7月3日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。