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「きっとお前が隠していることはサッカー部に一番知られたく無いことだ。だから、壁を作る。でも俺にだけなら、言えるんじゃ無いか。
以前よりもずっと、お前は苦しそうな顔をするようになった。いろんなことを溜め込んで身動きができなくなっているように見える。俺は口が固い。ここじゃ、お前のことなんて誰も見てないぞ、神崎」
鬼道が静かに、言葉を染み込ませるように言う。私は少しだけ心が傾いてーーーーだが踏みとどまり、また壁を作ろうと言葉を重ねた。だが、それは途中で打ち切られる。
「でも、あんまり他の人に言うようなことでも無いと思うよ。きっとくだらないことーー」
「くだらないかどうかは俺が決める。それに、俺は別にお前に善意だけで声を掛けてる訳じゃ無い」
鬼道が私に手を差し伸べたからだ。この間、地面に伏した鬼道に私がそうしたように。
その手が、そして声があまりにも優しかったから。私は少しだけ呆然とその様子を見守った後、気がつけばゆっくりとその手をとっていた。
彼の手は温かく、最初の冷酷な面影をもう少しも残していなかった。
「きっと、この間お前がしてくれたことは周りから見れば”おせっかい”だ。だがな、そうだとしても、俺はお前の言葉のおかげで引き上げられたんだ。俺はお前がくれた”おせっかい”を返したいだけさ」
鬼道のその言葉に少し安心したのか、私の心に少しだけ穴が空いた。
穴から少しずつ靄が漏れ出していくのをゆっくりと感じ取っていた。
実体のないぐずぐずとした靄は私の中から際限なく溢れ、次第に私を覆い尽くした。塞いで閉じ込めていた思考が再び動き始めた。
私はみんなが大好きだった。
フィディオたちのことも。
雷門のことも。
ーーーーエイリア学園のみんなのことも。
でも、私がみんなを愛していても、みんなとともにいることは肩書きが絶対に許さない。
私の気持ちも望みも何もかも、”救世主”が嗤いながら踏み潰していく。それでも私はそれが捨てられない。どうしてもみんなを救うまで、私は私を省みることができない。
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碧(プロフ) - わたぐもさん» わたぐもさま ありがとうございます。長らくお待たせいたしました。今後ともお楽しみいただければ幸いです。 (2022年7月2日 22時) (レス) id: 555a0dca31 (このIDを非表示/違反報告)
わたぐも(プロフ) - とっても好きな作品なので、再開凄く嬉しいです…! (2022年7月1日 23時) (レス) @page43 id: 5d152484ae (このIDを非表示/違反報告)
鱗川 - ゆっくりで良いので頑張ってください! (2022年3月25日 1時) (レス) @page40 id: d49fa68ddd (このIDを非表示/違反報告)
moeka(プロフ) - 最近更新がなくて寂しいです。更新してくれると嬉しいです。待ってます。 (2020年2月27日 14時) (レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 更新再開するんですね...!ずっと待っていました!この作品の夢主ちゃん可愛いし、性格も大好きで憧れなんです。これからの更新楽しみにしています! (2019年3月4日 5時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Aoi | 作者ホームページ:http://nanos.jp/aika398/
作成日時:2017年11月8日 23時