第120話 ページ22
ろくろと士門が庭から離れた後。
「彼方」
『はい?』
「お前、聞いていただろう?」
『バレてた?』
廊下を歩いていると士門に後ろから声をかけられた。
やっぱり、さっき聞いてたの気づかれていたらしい。
「お前は誘わないのか?十六夜家に」
『......誘わないかな....』
「何でだ?」
『だって、ろくの道はろく自身が見つけて、切り開くべきだから.....。まあ、ろくが自分で決めて十六夜家に入るなら、それはそれで私は喜んで向かい入れるよ』
ろくはこれから、たくさん苦労することがあると思う。
でも、それを乗り越えないと強くなれない。
勿論、ろくがうちに入ってくれたら、嬉しいよ?
けど、ろくはどこかの家に入るってことは......、
『(しないと思うんだよね〜)』
勘だけど。
『士門も相当ろくが気にいったんだね。家に誘うぐらいに』
「!他愛はないぞ!だが、ろくろは.....」
『ライバルのようで、大切な仲間.....かな?』
「〜〜っ!!」
『当たりだね』
いつの間にか、士門の中でろくろは大きな存在になった。認めているんだ、ろくろのことを。小夜さんの一件で本土の挨拶の時に改めてろくに言ってたもんね。
士門は自分にも厳しいけど、相手にも厳しい。でも、優しい。斑鳩家にいることに誇りを持っている。子供の時と何にも変わらない。
『......士門』
「なんだ?」
『士門は、天馬と並んでくれる?』
「!?」
『一人ぼっちで前に進む、彼の隣を歩いてくれる?』
「.....ああ。だが、お前もそこにいるだろう?」
『.....私じゃダメだよ。私、じゃね.....』
私じゃ、ダメなんだよ。
「アイツと並ぶのは俺の目標だからいい!」
『!』
「けれど、お前がダメだということはない。絶対にない.....!」
『.....そう、かなぁ?』
「そうだ。アイツにとって、お前は特別な存在だからな」
『!......特別....か.....』
本当にそう思われていたら、嬉しい。
でも、私はね。
君にも言えないことがある。
誰にも言えないこと。
知っている人がいるかも知れないけど。
でも、でもね。
私じゃダメ。
本来、私はこの世界にはいないんだから......。
いらないんだから。
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ひーちゃん - リメイク前から読ませていただいていますが、とても面白いです!無理せず更新頑張って下さい。応援してます。 (2022年4月5日 17時) (レス) id: fdbe555570 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年2月26日 17時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - すごく面白いです!!!!!!無理せず更新頑張ってくださいッッッ (2022年2月22日 18時) (レス) @page10 id: 069b2b7513 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月31日 17時