第118話 ページ20
着物を着こなす髭の生やした男の人は、小夜さんの父親であり現斑鳩家当主、斑鳩峯治さん。そして、もう一人、小夜さんの兄の斑鳩恵治さん。
お二人とも優しい士門の義理の父と兄にあたる。
私も小さい頃に御世話になったのを覚えている。
「(たしか本部にいた人だ。見るからに厳しそ〜〜〜......)」
「焔魔堂ろくろ君だな」
「はいっ!?」
「本土の戦いで我が娘、小夜を救ってくれたこと心より感謝する」
『!(当主自ら頭を下げた!?)』
ろくに向けて、小夜さんのことに対して頭を下げる峯治さん。当主が頭を下げるなんて......!同じことを思った士門が慌てて止めに入る。
「当主が何をっ.....顔を上げて下さい、峯治様!」
「たわけっ!!!!ワシのことは「お父さん」と呼べと言っているだろう!!!!」
『(そこなんだ......)』
「!す....すいません.....」
峯治さん、士門に「お父さん」って呼んでほしいのか。士門って、そういう礼儀系は砕けた感じにならないからなぁ。
意識すれば多分いえるだろうけど、お仕えしているという意識なんだと思う士門は。
「とにかく今日はゆっくりしていってくれ」
「『(いい人だ/なあ)』」
峯治さんが去って行き、ろくろに挨拶をしたのは兄の恵治さん。士門の兄であることを言う恵治さんにろくは驚き声をあげた。
「士門のお兄さん!?」
「肩書きは″次期当主″だけど俺なんかよ。士門の方がずっと凄いよ」
ろくろと握手をし、隣にいる士門の肩に腕を回す。
「士門は自慢の弟だからな!」
「やっやめて下さい、恵治様。人前で.....!」
照れている士門。
恵治さんは先程の峯治さんのような言葉を言った。
「俺のことは「お兄さん」と呼べと言ってるだうっ!!!!」
『(そっちかぁ〜)』
「はいっ.....すいません.....!」
「(亮悟と姉ちゃんみたい......)」
「とにかく今日は無礼講だ!」
なんか落ち込んでると言うか、疲れた感がある士門とろくの腕にくっついている小夜さんと共に歩き出した。
『いつ見ても暖かい家族だね』
「ああ。本当に俺にはもったいないくらい暖かい家だ。」
嬉しそうに優しい笑みを浮かべる士門に私も嬉しくなり、頬を緩めた。
幼馴染みは、何年たっても笑顔でいられたらしい。
良かった....。
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ひーちゃん - リメイク前から読ませていただいていますが、とても面白いです!無理せず更新頑張って下さい。応援してます。 (2022年4月5日 17時) (レス) id: fdbe555570 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年2月26日 17時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - すごく面白いです!!!!!!無理せず更新頑張ってくださいッッッ (2022年2月22日 18時) (レス) @page10 id: 069b2b7513 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月31日 17時