第109話 ページ11
「.....そう、天馬は通常、俺たちが使うような呪文や霊符は一切必要としない。ほとんど、知らないのではないかとも言われているな」
陰の気に当てられている繭良はそれに耐えながら、士門の話を聞いている。
「持って生まれた呪力と潜在能力の高さ故、奴にとって呪術・呪装というのは日常動作の延長線に過ぎない。ろくろが最強の陰陽師を目指すなら、天馬がいる限りその称号を得るのは容易ではないだろう(どっかの義姉も呪装なしだけどな)......」
彼方の前に立つ天馬をろくろは悔しそうに見る。
「土御門島の中で最大規模の家系、鵜宮家。奴こそ、十二天将最強″貴人″を与る鵜宮家現当主....鵜宮天馬!!」
──────────
「大丈夫かあ?」
『大丈夫。天馬の方は怪我ない?』
「あれくらいの雑魚に怪我なんてするかよ」
『それでも心配ぐらいするよ。大丈夫だった?』
「大丈夫だ」
『なら良かった....!』
天馬の前に立つ彼方は微笑んでほっとしたような顔をする。そんな彼女を見て、天馬は少し穏やかな笑みを見せる。
「ぐっ....」
『動いちゃダメだよ、ろくろ』
彼方はろくろに動かないように注意する。
天馬も動こうとするろくろをとめた。
「天馬!」
「おぉ、そっちはどうだ?.....似たようなもんだな」
士門が抱えてきた繭良はろくろと同じような状態であった。
彼方が心配そうに繭良を見る。
「お前は久しぶりでも平気そうだな」
『....あ、うん....(清弦さんの修行のお陰だな)』
「五分ってとこか。最初が深度1780にしてはもった方だろう」
『!』
「お前、それを知ってて来させたのか!?」
「当然だろ!ぬるま湯につけても意味ねぇじゃねぇか」
士門に答えながら、彼方の隣にしゃがみろくろに手を伸ばす。
「彼方、トリ丸」
『何?』
「俺の名前はトリ丸ではない」
「このチビ助ちょっと借りてくぞ」
『え?』
天馬の言葉に困惑の表情を浮かべた彼方。
「?どうするつもりだ。俺のではないが」
『ないね』
「......まあ、進路指導ってヤツか」
ろくろを担ぎ上げ、少し間を開けてから士門の問いに答える。それを聞いた二人の頭にはハテナマークが浮かんだ。
「ろくろに何の用があるんだろうな?」
『う〜ん?わかんない.....』
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ひーちゃん - リメイク前から読ませていただいていますが、とても面白いです!無理せず更新頑張って下さい。応援してます。 (2022年4月5日 17時) (レス) id: fdbe555570 (このIDを非表示/違反報告)
夏菜沙(プロフ) - コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年2月26日 17時) (レス) id: 6b5f9c4200 (このIDを非表示/違反報告)
オタク - すごく面白いです!!!!!!無理せず更新頑張ってくださいッッッ (2022年2月22日 18時) (レス) @page10 id: 069b2b7513 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月31日 17時