第35話 ページ37
翌日。昨日の内に一度家に帰り、今日は朝から二人に付き添っている。紫さんや亮悟さん達も二人に交代でついている。じっさまは十二天将の四人をお迎えするため星火寮に帰った。朝から昼へ、昼から夕方へ、時間は進み面会時間などで、病院にいられなくなり、また明日という形になった。二人とも、早く目覚めてほしいと願うしかできないなんて....、歯痒い。
帰り道、私と同じぐらいの青年がフラフラとしながら歩いていた。赤よりの髪にヘッドホンをしている青年は、前を見ていなかったのか、よろけて私と肩がぶつかってしまう。
「すまない」
『いえ、大丈夫です。......気分でも悪いんですか?』
つい、言葉をかけてしまった。
青年は、私に一言謝り気分の悪そうな顔をこちらに向けた。
「大丈....夫......っ....、!!?」
私のの顔を見たとたん、気分の悪そうな顔から心底驚いた顔をした青年。どうしたんだろう?
『.......えーと?』
「!......いやすまない。何でもない」
私の言葉にはっとして、すぐに元の表情に戻る。顔色は優れないが.......。もう一度、大丈夫かを聞くと「大丈夫だ」と返された。ただの乗り物酔いと説明してくれた。良かった病気とかじゃなくて......。
その直後、青年のポケットから携帯電話の着信音。
私に断りを入れてから、電話に出た。
『(あ)』
ろくろ達の様子を見に行こうと思っていたんだった。
「急用ができた。すまない、心配してもらい感謝する」
『いえ、私もこの後用事があるので、大丈夫です。気をつけてくださいね』
「ああ。それと、名前を教えてほしいんだが.....いいか?」
『私の名前ですか?....いいですけど』
私の名前なんて気になるのかな?
「ありがとう。.......俺は、「斑鳩士門」だ」
『焔魔堂彼方です』
「!焔魔堂.....か(ボソッ」
『?』
「いや、何んでもない」
『!.....あ、じゃあ私、行きますね!斑鳩さん、乗り物酔い早く治るといいですね!』
.......あの人、どこかで会ったことある気がする。
「.......″斑鳩さん″、か....。やはり、記憶がないんだな、彼方.....」
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2021年7月12日 20時