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◇彼氏の特権 ページ33

湖羽さんの様子が可笑しかったのは、彼女がヤキモチを妬いていたということが原因。俺からしたらヤキモチを妬いてくれて俺しか知らない先輩の姿が見えて、可愛いかったのでいいのだけど先輩からしたら嫌われると思ってしまったと。


湖羽さんは、相手を尊重している。
千歳さんや俺、東堂さんの事を考えている。

嫌われると思ったのは、俺の自由なのに自分の気持ちで勝手に相手の世界を狭くしちゃいけないと思っているからだ。東堂さんも千歳さんも前に俺に言ってきた。



「あいつはもっとわがままになってもいいと思うのだがな。自己評価が低すぎるところがある」

「バレーだと全然なんだけどね〜?誰よりもトスを呼ぶし、コートに立っていたいって欲があるんだけど。恋愛においてはそこが無さすぎる」

「真波の事を大切に思っているのはわかるがな」



湖羽さんの事をよく知ってるのはやっぱり千歳さんと東堂さん。その事に少しの嫉妬が入ってしまうが先輩には『?』なんだろう。



「先輩がヤキモチ妬いてくれるのは嬉しいですよ、俺」

『!?!?.....っ....ケホッ.....な、何突然!?』

「いえ〜!」



あからさまに言えば、慌てる先輩。
よく見ると耳が赤くなっていて、軽くこちらを睨んでいる。それは全然怖くなくて、寧ろ可愛いと思う。覗き込むように言えば、視線を逸らす湖羽先輩。



「ホントに可愛いですよね〜!湖羽さんは」

『〜〜っ!?!?』



わかりやすいぐらいに照れる湖羽さんはレアだ。
多分、千歳さんの前でもこんな反応は見せない。俺だけに見せてくれる姿に思わず口元が緩んだ。



『.....心臓に悪いぞ、真波。........君に言われると本当に恥ずかしいからやめて.......』

「........俺に言われるとなんですか?」

『そ、そうだけど?』

「じゃあ、これは俺の特権ですね〜!」

『そ、そうなるね?』



俺だけの特権。
こうして、湖羽さんの隣に彼氏としていられるのは。



 

湖羽さんが言ってたみたいに、俺だって思う。



湖羽さんのかっこいい姿も、


湖羽さんの可愛い姿も、先輩が弱気な姿も、


バレーをしている時の表情も、



全部、俺だけが知ってたいなんていうわがままを。
叶わないけど、思ってるんです。



「(俺の方がきっと強く思ってますよ?)」



先輩が好きだから。


 

◇稲荷崎の主将からの電話→←◇隣の先輩



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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年12月25日 19時

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