◇この感情は嫌い ページ24
美園湖羽side
『悩む.....』
頭はクレープ、心はモヤモヤ。
初めての感情に驚きながらもわかっている。
これはヤキモチだって。
隣の木兎とクレープを選んでいながらも、内側ではモヤモヤして、気にいらないって。
嫌になる感情。
前世なら、しょうがないよねって完結できたのに。
こっちだと上手くできない。
ただ、真波が女子生徒と話してるだけじゃん。
気にすることなんてないじゃん。
そりゃあ、真波はカッコいいよ。イケメンだよ。
普通モテてて当然。
尽八といるから、イケメンへの感覚狂っちゃったかな？
赤葦だって、カッコいいし、さりげない気遣いもできるいい奴だし。クロだって外見はカッコいいし、いざっていう時は頼れるし、音駒でモテてると思う。
夕とやっくんは、もうモテるベクトルが違うんだろう。
あんな、男前かつかっこ良さを持つ二人がモテないとかあり得ない(身長の事は言わない転生者)。
「決めた！俺はイチゴとバナナチョコ！」
「湖羽さんはどれにします？」
『ん〜と.....』
本当に嫌になる。
こんな感情、相手を困らせるだけ。
真波の、
真波山岳のカッコいいところは
私だけが知ってたいって、
独り占めしてたいって、
.........他の女の子と話して欲しくないって、
そんなのダメなのに思っちゃうんだ。
バカみたいな独占欲。
こっちの感情はもっと苦手。
こんなのないと思ってたのに私の中にあったまだ知らない感情。本当は知ってたのかも知れないけど、バレーとは違う似て否なる感情。しょうがないよねって、自己完結できない。
『......』
「湖羽さん？」
『！あ、ごめん！悩んでた....。えーと、キャラメルにしようかな！』
「はいっ！今作りますね」
『うん。待ってるよー』
考え込みすぎて、いきなり声をかけられたことに驚いた。
悩んでたキャラメルのクレープにして棗に注文する。
「先輩、大丈夫ですか？」
『え？.....ｯ.....！』
「元気ないみたいですし.....。何かありましたか？」
『何にもないよー。他のクレープの種類も捨てがたくて.....！悩んじゃったっ』
下を向いていたら、いつの間にか私の顔を覗き込む真波がいた。反射的にポーカーフェイスを発動。
『(今の私を君に見られるのはすごく嫌なんだ)』
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年12月25日 19時
