◇彼氏よりもクレープ ページ22
研磨と赤葦の言葉には驚いたが、木兎の言葉は湖羽には予想通りだった。
「湖羽〜〜！」
『！千歳』
「よぉ！」
「黒尾君！それに赤葦君達も！来てたんだ〜〜！」
そこにクラスTシャツを着た千歳がやってきた。
黒尾達に気付き、近付いて来る。
「スケジュール的にそろそろ終わるかな〜〜と思って来たんだけど」
「ご名答！もう交代の時間だよ」
「この後、一緒に回れて、湖羽のコスプレも見れる！一石二鳥！」
一日目は、千歳と一緒に回ることになっていた湖羽。二日目はお互いに真波と東堂と回る予定の二人は、今日の午後、千歳の演劇までの間回るのだ。
まあ、二人ではなく多人数で回ることになりそうだが.....。
「あ、交代の時間だよ」
『本当だ。更衣室で着替えて来ようか』
「待ってますね」
『ア、ウン』
東堂の言う通り付いてく気満々の黒尾達を残して、四人は更衣室へと向かった。
──────────
黒尾鉄朗side
ちょうど学校も部活も休みの日に被った湖羽達が通う箱根学園の文化祭。研磨と共に電車にのったら、本当に偶然木兎達とあった。あっちも休みだったとこれまた偶然が重なった。
『千歳ー！お待たせ』
「待ってないよ〜」
王子の衣装から着替えて、クラスTシャツと制服のスカート。いつもの白のパーカーを羽織った湖羽がきた。その後ろからは市ノ瀬が歩いて来ていた。
「よし！じゃあ、行こっか！」
『何から食べる？』
「いや、まずは真波君のところ覗きに行こうよ」
接客業に疲れたのか、湖羽はお腹を押さえて食べ物の話。
廊下に漂う香りに誘われるのだろう。
「棗ちゃんも真波君と同じ時間帯が当番らしいんだよ。見に行こうよ」
「湖羽の彼氏見れるのか〜〜！？」
「見れるよ。それにお腹も膨れるよ」
『ﾊｯ)確か、真波のところはクレープ作るって....！？』
「ク、クレープ....！！」
ｺﾞｸﾘｯ。
「『行こう！クレープ食べに！！』」
木兎と湖羽はこういう時は意見が同じだ。
二人して目を輝かせて、クレープ目指して歩き出した。
「俺なんか、湖羽の彼氏君に同情したんだけど....」
「わかります」
「これが....湖羽だから....」
話に出てきた湖羽の彼氏君に同情してしまった。
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年12月25日 19時
