◇到来！小野田君のオカン ページ36
「ちょっと貴女！」
『はい？』
選手達が残り四キロ地点を通過したという放送が聞こえ、兄さんと千歳と自動販売機を探し始めて、見つけ買った後。女の人に声をかけられ、そちらを振り返れば、ザ・主婦！と言ったような女の人がいた。バスに乗る時に見たような気がした。
『どうかしました？』
「貴女、坂道の友達の子よね！」
『(坂道.....。私の友達で坂道って、あの坂道しかいないよね)は、はい、そうですけど.....』
頷けば隣の千歳にも視線を移して「貴女も坂道が見せてくれた写真に写ってたわね！」と言われ、千歳も返事を返した。この人、小野田のお母さん？そう思ってると女の人が自己紹介をしてくれて、私も慌てて挨拶をした。
「いつも坂道と遊んでくれてありがとね」
『いえ、私達も仲良くさせてもらってますし、彼といるの楽しいですよ！』
「小野田君とは(アニメの)話も合いますし！バレーの応援もしてくれます！」
「あの子、冬に高校のバレー観てるから何かと思ってたの「友達が出てるから！」って貴女達のこと応援してて」
「『！』」
そうだったんだ。
小野田、冬の春高バレー観ててくれたんだ。嬉しいねって視線を隣の千歳と合わせて、微笑んだ。
「二人はどうしてここに？」
「えっと、学校の自転車競技部の友達の応援です」
「え！？自転車部って、うちの坂道もなのよ」
「『(.......これ勘違いしてない？)』」
小野田、お母さんにどう説明してるんだ？
小野田のお母さんの頭の中の想像が見えるんだけど、普通の自転車でチャリんチャリんと友達とこいでる絵が見えた。こんな和やかな感じじゃないんだけど.....。小野田、説明頑張れ！だよ。
「美園さん、榊さん」
「『はい』」
「これからも坂道の事お願いね」
「『！』」
「あの子、共通の友達がいなくて不安だったの。不器用な子だけどよろしくね」
『私達の方こそですよ』
「よろしくお願いします」
大切な友達だもの。アニメ友達で、後輩で、真っ直ぐで裏表ない他校の自転車部の子。私達がそう返せば、小野田のお母さんは嬉しそうに微笑んだ。いいお母さんだね、小野田。今まさにゴールを目指して、箱根学園と走っている小野田に向けて思った。彼、一秒一秒強くなるもの。
「それにしてもこれ何なのかしら？」
「『(説明ッッ！！)』」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マシュマロ。 - 月が綺麗ですねって、なんで気付かないんだろ〜〜。私も気付かない気がするけど… (2022年11月26日 17時) (
レス) @page13 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月20日 0時
