◇忘れた記憶の結末 ページ35
『来たよ、インターハイ最終ステージのゴール』
「山頂ゴール！」
三日目ゴールのふじあざみライン。
一日オフな私達は山頂ゴールに行くために兄さんと共に山頂行きのバスに乗ってやって来た。大体乗ってる人はゴールを観にいた人だろう。私達と同じ目的だ。今日で今年のインターハイの優勝校が決まる。このラインを一番最初に誰よりも速く越えた人が総合優勝を勝ち取る。
「まだ、選手達が来るまで時間があるけどな」
「でも、遅いとゴール見逃すかもですよ？」
兄さん達とバスから下りて、山頂の景色を見る。
少し肌寒くて、薄手のパーカーを羽織って着てて良かったと思う。標高二千メートルと高いもんね。邪魔にならない場所って言ってもまだ選手も来ないし、準備もされてない。人もまばらだ。まあ、箱根学園の自転車競技部の後輩や試合に出てないメンバーはサポートとしているけど。彩芽はまだ来てなくて、今向かってる頃かなって思う。
「三日目はもうスタートしたんだよね」
『したよー。今は────』
「《ただいま、選手達は残り四キロ地点を通過しています》」
『らしいです』
放送から聞こえる今の状況。
残り四キロ......か.....。
「湖羽湖羽」
『なに？』
「どうなるか.....知らないんだよね？」
『！.....うん、知らないよ。記憶ないんだ』
兄さんから少し離れ、周りには誰もいない(元々まだ人は少ない)。会話の内容は聞かれたらまずいので小声で話す。千歳には前に私の記憶がスッポリとなくなった事を教えた。誰が、三日目に一番最初に山頂に来るのか、観たはずなのに覚えてない。忘れた私。千歳は元々前世でそこは観てないから分からない。
「どうなるかな.....」
『どうなるだろーね』
「それが分かるのが今日でしょ？」
『！』
「そ、そうですね」
いきなり現れるな、兄よ。
すっと隣にいた兄さんにめちゃくちゃ驚いて、思わず後ろに下がってしまった。
「自動販売機どこにあるか知ってる？」
「何か買うんですか？」
「うん」
『.....え、もしかして持ってくるの忘れたの？』
「忘れた......」
『どこに合ったっけ....、自動販売機....』
「あっちにあった筈だよ」
夏の日差しはキツイ。ちょっと肌寒くてもだ。この夏の暑さで倒れないために水分補給は大切。毎年この季節になるとずーっと言ってる事だ。
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マシュマロ。 - 月が綺麗ですねって、なんで気付かないんだろ〜〜。私も気付かない気がするけど… (2022年11月26日 17時) (
レス) @page13 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏菜沙 | 作成日時：2022年11月20日 0時
