排球部エースは転生少女《６》 (ページ4)

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◇自主練in西谷夕ページ4

西谷夕side

ドガッ！！

「！！」

『ふぅ.....』

ネットを挟んだ向こう側。そこには俺の師匠、美園湖羽さんがいる。たくさんのボールの中から、一つを手に取り、こちらに構え、空中に投げる。数歩歩いて、ジャンプ。腕をスイングさせ、ボールが打たれる。ボールは俺の目の前へ向かってきていて、それをアンダーでレシーブしようとする。

ズッ....。

「....っ....！！」

_______トタッ。

ボールをあげられず、手が触れただけで壁の方に転がっていった。

「(くそっ....！また、あげられねぇ！！)......もう一本！お願いしァァァッス！！」

『了解ー！』

俺がもう一回頼むと湖羽さんは笑顔でボールを手に構えてくれた。

──────────

『お疲れ様、夕.....！』

そう言って、タオルとスクイズを渡してくれた湖羽さん。
自身のタオルで汗をふき、スクイズで水分補給をしている。

「自主練、付き合ってもらってアザしたっ！！」

『全然大丈夫！夕と練習なんて久しぶりで嬉しかったし、自分の練習にもなるし！』

湖羽さんの言葉に俺も頷く。
この人と練習なんて久しぶりだ。

県内の高校に進んでいない湖羽さんは、今神奈川でバレーをしている。しかも、昔とは比べものにならないぐらいの知名度と技術を身につけて。

「(サーブもレシーブも前よりも全然威力上がってた！)」

他の学校と試合をしている時、落ちると思ったボールを拾い、繋げる。湖羽さん自身もレシーブは上手いが、箱学のリベロの人も相当な実力を持っている。音駒のリベロの人並みのレシーブの安定さ。さすが、強豪箱根学園だ。

「湖羽さん！前よりもサーブ、滅茶苦茶強力になってましたね！すごいッス！！(.....何本か取れなかった.....)」

『夕だって、レシーブのレベル上がってたし....、苦手なオーバーの練習してるんでしょ？いい調子だね』

「でも、まだまだッス！.....これじゃあ、牛若のスパイクは止められない」

『若利のスパイクかぁー.....！あれは強力だよね』

「わかる」と首を縦に数回ふる湖羽さん。
懐かしそうにする表情にもしかして！と思った。

「とったことあるんですか？！」

『ん？ああ、あるよ』

「！」

さらりと言った湖羽さんに驚き、首を動かして顔を向けた。

　