◇″ありがとう″って伝えたい ページ28
.........その力を、ゴールを狙う実力を彼は持っているのだろう。今から出るのなら。
「あ、来ましたよ....!」
「『!』」
下から聞こえる歓声と奥山の声で聞こえた方を見ると縦に並ぶ、人影。自転車が走る音が聞こえてきた。皆....、いるね。チームを引いてるのは、双方のチームの一年生クライマー。
眼鏡とアホ毛が見える。これから、尽八達と合流してゴールへ向かうのだろう。
彼らが通りすぎる前に言わないといけないことがある。
『......お』
「ッ小野田君!!ありがとうっ!!!」
「!?」
『えっ!』
言わないといけないことは御礼。尽八と巻ちゃんがラスト走れたのは小野田が拍車したにも関わらず、チームに戻って来てくれたからだ。小野田からしたら、自分のやるべきことをしただけだろうけど、私は、私達は、あの二人の本気の走りが観れて嬉しかったのだ。二人の約束が叶って本当に....本当にッッ!嬉しいのだ。
だから、御礼を言おうとしていたら、最初の一文字目以降、千歳に言いたい台詞をとられたのだ。思わず、隣の千歳の方を観てしまった。走っていた総北メンバーも箱学メンバーもこっち見て、驚いてるからね。この御礼は走り去る時に言ったんじゃなくて、来る少し前に言ったので、言い終わってちょうど二チームが目の前を通った。
パチ。
スローモーションのように真波と目があった。
とりあえず、微笑んどく。
『(遅刻魔、ちゃんと間に合ったんだね)』
「!」
すごいスピードで走っていく、彼ら。
実際、ゴール前のスプリントよりは遅いスピードだよねぇ。
『......私、微笑んだだけなのに驚かれたんだけど、どう思う』
「え?」
「何かしたんですか?」
『してないしてない。全く、身に覚えがない』
微笑んだだけなのに真波になぜ驚かれた。
私、後輩にどう思われてるんだろう......、心配。
「.......どうする、表彰式観に行く?」
『......いや、間に合わないでしょ』
今から行っても表彰式終わってそうだし、見るんだったら多分三日目の最後だけだよ。
「巻ちゃん」
「.....ああ」
「千歳達見に来ていたな」
「お前がいるんだ、見に来るッショ」
「違うぞ。俺達の勝負を応援しに来たんだ」
「.......そーだな」
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マシュマロ。 - 月が綺麗ですねって、なんで気付かないんだろ〜〜。私も気付かない気がするけど… (2022年11月26日 17時) (レス) @page13 id: 5bbebede5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏菜沙 | 作成日時:2022年11月20日 0時