64p.ガ、ガガンボｯ！！！ ページ21
あの場所からどのくらい離れたのだろうか？
虫歯伯爵は何処かの教室に入ると、抱きかかえていた僕を降ろし、近くにあった椅子に座って休憩し始める
様子を見るに多分ここまで来れば安心だと思ったのだろう
僕は彼に言いたい事があったので声をかけた。
A「ねぇ」
虫歯伯爵「言いたい事は大体わかるぞ。"なんで加勢しなかった"って聞きたいんだろう」
A「なんだ、わかってるなら何でしなかったのさ」
あの状況を普通に考えれば2対1でこちらが優勢で勝てたはずだ
犬神を置いて行かなくても良かったのではないかと思いながら虫歯伯爵を見つめていると彼は少し目を伏せて「決まりだからな」と呟いた
A「は？決まり？」
虫歯伯爵「ああ、犬神と決めていた事だ。もしお前が居る状況で"敵意のある"ランクが高い妖怪と出くわした場合はお前の安全を第一に考えて行動をするってな。正直、オレなんかがお前を守れると思うか？いつも肝心な所で失敗する。いつだって色んな人間を虫歯にしようとするが治されて予防されるばかりだ。誰もオレを愛さない……。」
A「ど ど どうしたの急に？！」
突如、椅子に座っていた虫歯伯爵は机の下に寝転がって蹲る
急すぎる彼の変化に僕は戸惑いが隠せず、声を掛けたがこの変化に見覚えがある
何なら記憶に新しくそれはトイレ前で待っていた東雲の様子と同じだった
こんな風にいきなりネガティブになったんだよな、と思いながら蹲っている虫歯伯爵に近付くと薄っすらと背中に虫の羽が生えている事に気がついた
A(あれ？待って虫歯伯爵に羽なんてあったか？いや……)
まさかと思って僕は妖怪ウォッチで彼を照らすと予想が的中し、その姿が露わになる
一部に縞々模様がある服を着ていてフードを深く被った蚊によく似た大きめの昆虫の姿をしており、僕は「ガガンボｯ！！！」と昆虫の名前を叫んだ
？「ガガンボじゃないブーン……ネガティブーンですが何か…」
ジトリとした目に如何にも日陰者ですといった口調で独特な語尾をつけて喋る妖怪は名乗った後、深い溜息を吐く
名前と虫歯伯爵の状態から察するに、この妖怪は相手をネガティブにさせる能力なのだろう。
その能力で相手をネガティブにさせて無防備になっているすきに攻撃を仕掛けてくるはずだ
＿＿＿＿どうする？虫歯伯爵はあんな状態だし、犬神を呼ぶわけにはいかない。僕が今呼べる妖怪はいないけど……どうにかなるか？
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ソルべ(プロフ) - あめらぴさん» 評価やコメントなど誠にありがとうございます。好きと言われて嬉しい限りです！執筆の励みとなり、次をなるべく早く上げれるように頑張りますね。 (2022年7月29日 2時) (
レス) id: c758b8aa54 (このIDを非表示/違反報告)
あめらぴ(プロフ) - 夜遅くに突然すみません。好きです。物語の展開から主人公の心情、恐怖の感覚や焦燥が本当にお上手に書かれていて一気読みしてしまいました…キャラの口調も性格を理解した上でのもうに見えて、もうなんか凄く好きです……… (2022年7月28日 2時) (レス) @page6 id: 0688156f54 (このIDを非表示/違反報告)
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