ただ、愛がほしいだけ【マサイ】 (ページ20)

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急な着信に驚いた

だってそれはAさんからだったから

慌ててスマホを耳にあてると、

すすり泣く声が聞こえてきた

マ「…どした？寂しくなった？」

平然を装い話しているが

心臓はバクバクと動いていた

だってこれは、チャンスだから

「マサイさんっ、助けてっ」

くそっ、また______

「雷、怖いのっ」

マ「へっ？」

てっきりまたアイツに何かされたのかと思ったが

…雷？

ピカッ…ゴロゴロ…

ほんとだ、ヘッドホンしてたから気付かなかったな…

って、そうじゃなくて

マ「今どこ？家？」

「うん…」

マ「すぐ行く」

俺はそのまま家を出て隣のインターホンを押す

「あいてるよ」

その声を聞き、通話を切った

「へへっ、ほんとにすぐ来てくれた」

マ「だって隣じゃん」

「そうだね」

彼女は寝室で布団にくるまっていた

俺はその前に座り、彼女の手を握った

なんだか、初めて話した時みたいだ

マ「雷怖いの？」

「うん…めっちゃ子どもだよね」

マ「なんかAさんに合ってる、雷怖いって」

「…それ、バカにしてる？笑」

マ「してないよ笑」

久々にみた笑顔に緊張は解れ、

いつもの距離に戻れた

それと共に安心した

「…ごめんなさい」

マ「え？」

「あんな酷いことしてしまって」

マ「あぁ…気にしなくていいよ」

「…あの日から、いろいろ考えたの。また同じことをしてしまうんじゃないかとか、また傷つけてしまうんじゃないかとか…でも、会いたいって…マサイさんに会いたいって思った。来てくれてありがとう」

またゴロゴロと鳴り出した雷のせいか

俺への想いか、

手をギュッと握り返してくれた

「…やっぱり私は愛が欲しいみたいで。誰かに手を伸ばしそうだったんだけど、結局、傷ついて、傷つけて、それの繰り返しだと思うの。だから…それなら、もう愛なんて______」

マ「俺が愛をあげるよ」

俺が、守りたい

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