7.dt ページ7
翔太は知らない。
俺達の意中の相手が誰を想っているのかも、その恋愛が本来ならば成立するべきであるということも。
あの後結局翔太の家に泊まらせてもらうことになったけれど、彼はこの事実を知ったらどう思うだろう。
やっぱり嬉しそうに悶えたりするのかな。
ソファじゃなくて、話題作りとして半ば無理矢理にでも翔太と同じベッドで眠るべきだったか....。
携帯電話が短く鳴って、さっきの写真への返事が来たことが知らされる。
....と思ったらふっかだ、紛らわしい。
“メールの音で姫が起きちゃったじゃねぇかよ、どうしてくれるんだコレ！！”
クレーム。
そしてその下に添付された写真には、携帯電話を天に掲げて祈りを捧げるような彼の姿が。
....そうか、これがヲタクという人種か。
これがゆり組厨という生き物か。
こういう人々は蹲って悶えるものだとばかり思っていたけれど、なるほどこういう生態を持った者も存在するのか。
愛しい人の滑稽で愛らしい姿を堪能していたら、今度は動画が送られてきた。
迷うことなく三角形をタップすると、思いの外大音量だったので慌てて音量を下げた。
『ゆ....ゆり....ゆりぃ....あああぁ、ゆり組....っ！！』
『....』
『ふっかぁ....ゆり組がゆり組でゆり組してる....っ』
『はいはい、わかったわかった....いや、わからんけど。』
『尊い....この世のものとは思えないほど尊いよ、むしろこの世に存在していていいのかこれは....っ！？俺は前世でどんな徳を積んだの....』
『そうね、尊いね。そろそろ寝ようね、寝不足は肌に悪いから。』
『この写真で白米五杯は余裕....え、ちょ....！！お前何撮ってんだよ！？』
((ﾌﾟﾂｯ....
“てことで、迷惑でーす。わら”
....夜中に何やってんだ、コイツらは。
唐突に動画が切れ、再度クレームをつけられた。
俺は親切心で送ってあげたのにな、なんて。
“悪かった、また送るよ。”
“やめろ！！わら”
ここで会話が途切れ、携帯電話の電源を落とした。
再び一つ壁を挟んだ向こう側で眠る彼のことを考えてみる。
翔太は、もしも阿部と佐久間が両想いであることを知ったらどうするのだろう。
面倒事が嫌いだから、キッパリと諦めるのか。
はたまた、頑固な一面を発揮するのか。
どちらにせよ、俺達の恋が実る可能性なんて砂漠でペンギンを見つけるよりも低いわけで。
できるだけ傷ついて欲しくはないな、なんて思いつつ目を閉じた。
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まなお(プロフ) - 智子さん» ありがとうございます！のえあべ…好きなんですよ(*^^*) (2021年7月14日 15時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
智子 - のえさんんが、、、本当にいいお話でした (2021年7月2日 1時) (レス) id: 6bcad947d7 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - EYEさん» のえさん、阿部ちゃん、かっくんの三角関係を妄想している途中です。形になりそうだったらアウトプットするので、暫しお待ちくださいね！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
EYE(プロフ) - まなおさん» ほんとですか！絶対見ます！！笑 (2020年8月18日 17時) (レス) id: c74add9456 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - EYEさん» ありがとうございます！！のえあべ、完全に沼でした…！！またそのうちのえあべ書くと思います。その時はまた、お付き合いくださいね！！ (2020年8月18日 16時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年5月15日 20時
