We kiss....

50.ab ページ50

『阿部くんは僕の全てです。


だから、貴方が僕に気を遣う必要は全くありません。


ただ、一つだけ僕の我儘を聞いて欲しいんです。


貴方に健やかでいてほしい。


心も体も、別に僕に縛られる必要は無いけれど。


ただ健康で、幸せであってください。


そのお手伝いを僕ができるなら、こんなに光栄なことは無いんですけどね。


阿部くんは偉いです、今日も生きていてくれるから。


ちゃんと呼吸をして、代謝をして。


褒めてあげます。


ちゃんと生きていて偉い、凄いねって。


だけど貴方は優しいから、きっと不安になるでしょう。


自分ばかりが愛されていることに、えも言われぬ程の罪悪感を抱くでしょう。


そんな時は、どうか僕を叱ってください。


もっと愛が欲しい、これじゃ足りないって。


健やかなる時も病める時も、富めるときも貧しき時も....


僕は貴方のことだけを愛し、守る。


そう誓ったんです。


だから、不安や不満を抱いた時は遠慮無く叱ってください。


今も僕なりの最大の愛をもって貴方に接しているつもりだけれど、貴方が足りないと言うのなら倍にもその倍にも愛を大きくします。


....こんな重苦しい愛し方しかできず、本当に申し訳ない。


情けないと思っています。


だけど、貴方はこんな僕を選んでくれた。


貴方からの愛は無くても、貴方を愛することで僕の想いは報われます。


だからどうか、健やかでいてください。


今日も....』


俺の選んだ愛は、それはそれは清らかなものだった。


彼は重いと言うけれど、俺にとってはむしろ丁度良いくらい。


彼が俺に放った言葉達は、不思議と心に空いた穴を埋めていった。


恋とも安心ともつかない未知の感情が押し寄せて、だけどそれはとても心地良いもので。


彼を知りたくて、今日もまたここに帰ってきた。


康二がこんな大ボケをかましただとか、ふっかがMCで噛んだだとか。


そんな話も聞いてくれて、最後には必ず抱きしめてくれる。


もっと彼を知りたくなって、とうとうその欲が抑えきれなくなって。


俺からベッドに誘うと、彼は驚いたように一瞬挙動を止めた。


それからこの上無く美しいほほ笑みを浮かべると、やっぱり優しく俺を抱いた。


とても彼らしいと思った。


彼の愛を知ったから、もう抜け出せない。


この人と一生を共にしたい、そんなことまで考えるようになった。


佐久間に恋をしていた頃には生まれなかった感情。


今日も俺と生きてくれてありがとう、如恵留。

終わり ログインすれば
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