16.fk ページ16
驚いた。
阿部ちゃんが自ら俺を誘ってくるなんて。
何か変なものでも食ったのか....なんて冗談を言おうとして、やめた。
阿部ちゃんがあまりにも真剣な、思い詰めたような顔をしていたから。
これは茶化しちゃいけない、俺の本能がそう叫んでいる。
「....なんで急に？」
「なんでもないけど....気分。そういう気分なの。」
「お前なぁ、気分屋にも程があるだろうが。たった一時の気分なんかでそういうこと言うなよ、もっと自分のこと大切にしろって。」
「ふっかは俺のことが好きなんじゃないの？悪い話ではないと思うんだけど。」
「だからこそだよ。俺は本気で阿部ちゃんのことが好きだから、大切にしたいの。もし阿部ちゃんが本気で俺に惚れてくれてるなら話は別だけど。」
「....本気だって言ったら？」
「嘘だね。俺に嘘つこうなんて一億年早いわ、同期ナメんなよ。」
「....」
「そんな顔すんなよ、落ち込むなって。何かあったなら話は聞くし、ふっかさんのお得意芸のキッスでめちゃくちゃにしてあげることはできるんだからさ。」
「....優しいね、ふっかは。」
「今更気付いたのかよ！？」
「うん....まぁ、そうだね。今知ったかな。」
阿部ちゃんが肩を揺らして笑う。
それはそれは楽しそうに....そんな自分を演じているのだろうか。
笑顔と言うより、無理矢理口角を持ち上げて目尻を下げたような作り笑い。
切ねぇよ、俺には何もしてあげられないのに。
抱いてやることも、佐久間への恋を応援してやることも....
この子が喜んでくれそうなこと、何一つだってしてやれない。
佐久間が自分のことをどんな風に思っているのかを知ったら、阿部ちゃんはどうするのだろう。
そりゃあ両想いなんだから、お付き合いを始めるのが妥当なところか。
佐久間の気持ち、お前は知りたい？
知ったら幸せになれる？
....いや、必ずしもそうとは言い切れない。
お前は優しいからね、きっと俺やメンバー達に気を遣うんだろうよ。
恋が実ったら実ったで、悩みが尽きることは無いかもね。
「そろそろ戻ろうか、皆が心配する....っていうか、俺が怪しまれる。」
「待って。もう少し....少しだけでいいから。」
立ち上がろうとした俺の腕を、阿部ちゃんが弱々しく握る。
そんな泣きそうな目で見てくるなよ、愛おしくてどうしようもなくなっちまうだろうが。
「....わかった、少しだけな。」
甘いな、俺。
やっぱり惚れた弱みかもしれない。
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まなお(プロフ) - 智子さん» ありがとうございます！のえあべ…好きなんですよ(*^^*) (2021年7月14日 15時) (
レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
智子 - のえさんんが、、、本当にいいお話でした (2021年7月2日 1時) (レス) id: 6bcad947d7 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - EYEさん» のえさん、阿部ちゃん、かっくんの三角関係を妄想している途中です。形になりそうだったらアウトプットするので、暫しお待ちくださいね！ (2020年8月18日 17時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
EYE(プロフ) - まなおさん» ほんとですか！絶対見ます！！笑 (2020年8月18日 17時) (レス) id: c74add9456 (このIDを非表示/違反報告)
まなお(プロフ) - EYEさん» ありがとうございます！！のえあべ、完全に沼でした…！！またそのうちのえあべ書くと思います。その時はまた、お付き合いくださいね！！ (2020年8月18日 16時) (レス) id: aed59bcb78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まなお
| 作成日時：2020年5月15日 20時
