三ツ谷は私のことが好きらしい。 (ページ10)

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10.好きな人ページ10

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エ「ねぇねぇ、名前なんて言うの！？」

『灰谷Aだよ。三ツ谷と同い年。エマちゃんだったっけ？』

エ「そ、呼び捨てでいいよ！！三ツ谷と同い年ってことはウチの一個上か。A姉って呼んでもいい？」

『いいよ。私、女の子の友達できたの初めてだから嬉しい！』

エ「マジ！？」

『上に二人お兄ちゃんいるんだけどね、不良だし私もこんな身なりだから怖がられてさー』

エ「それウチも一緒！！」

そうか、マイキーの妹だって言ってたっけ。兄二人を持ち、可愛がられることはあっても誰かを可愛がることなんてなかった。A姉なんて呼ばれるのはなんだか新鮮で嬉しかった。

エ「三ツ谷と付き合ってるの？」

『付き合ってないよ。なんかヨメ？とか言われてたけど勝手に言ってるだけだし。』

エ「そうなんだ。好きとかもないの？」

『三ツ谷はなんか、そういうんじゃないんだよね。それに私、軽い男性恐怖症みたいな所あるから今は付き合いたいとか考えられないかなー』

エ「そっかぁ、お似合いだと思うけどなー」

『でも誰も私に話しかけてくれない中で、唯一相手してくれる人だから大切では………ある、かも』

エ「ふふん、それもう好きじゃーん！てか三ツ谷は絶対A姉のこと好きだよね♡」

『す、好きじゃないよ！！ないない！！そういうエマこそ、何かないの？』

エ「え、ウチ！？ウチはね………」

エマはドラケンのことが好きらしい。なんか見た目は怖そうだったけど、喋ったら優しそうだったもんな。頬を紅潮させて、ケンちゃんってね〜〜と話すエマが女の子らしくて可愛いと思った。私にもそんな風に思える相手が現れるのかな。今は兄がいてくれればそれでいいと思っている。

今まで寄ってきた男は、私をよく知りもしない人ばかりだった。みんな顔だけで判断した。告白してきた相手がやらせてくれそうだと思ったと言っているのを聞いたことだってある。

男なんて、みんなそんなもん。

『お兄ちゃんに電話してくるねー』

エ「りょーかーい、もしかしてここ来る！？」

『あー来るかも』

エ「A姉の兄貴、見てみたいんだけど！！」

『ちょっと待ってて。』

兄に電話すると、男と一緒だとメールしたから攫われたかと思って本気で心配していたらしい。そんな大袈裟な。とは思うが、兄が有名な不良だとそんなことが起こっても不思議ではない。二人が守ってくれているから、私は平和に生きていられる。

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