三ツ谷は私のことが好きらしい。 (ページ13)

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13.好きになった日ページ13

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Takashi Mitsuya side

ギャルなんて俺のタイプとは程遠い。

遅刻と欠席は多いし、教室にいる方が珍しいくらいな奴だ。胸元のシャツのボタンは3つ開いており、パンツ見えんじゃねぇかってくらいの短いスカートを履いている。耳にはいくつものピアスが空いていて、爪は派手なネイル。授業は全く聞かずに居眠り。典型的なタイプのギャルだ。

そんな俺があいつを好きになったのは、中2の春のことだった。1年でクラスが同じになったし顔が可愛いで学年中で噂になってたから、存在は知っていた。一言も話さずに一年を過ごし、2年になった始業式の時、満開の桜をただ黙って見つめているAを見つけた。いつものおちゃらけた雰囲気とは違って、儚くて、触れたら消えそうなくらい綺麗だった。

カサ、

『君、確か去年同じクラスだったよね？』

三「あ、あぁ。」

『えっと名前は………三ツ谷、だっけ。』

名前を呼ばれた。
それだけで胸の高鳴りが止まらなかった。

『あれ？違った？』

三「あ、いやごめん、合ってるよ。」

『よかった。てか逆に私のこと知ってる？』

三「知ってる。灰谷さん、だろ？」

『何それ、なんか他人行儀じゃない？Aでいーよ。』

三「………じゃあ、Aちゃん。」

『うん！そっちのがいい！』

俺も名前で呼んで欲しい、とは言えなかった。こんな気持ち初めてだったんだ。ドキドキしすぎて心臓が痛くて、どうにかなりそうで。

『私、学校とか面倒くさくてあんま来ないのによく知ってたね。』

三「まぁ可愛いって有名だったし。」

『マジ？初耳なんだけど、ウケるー』

三「こういうイベントの方がだるくねぇの？」

『正直だるい。けどね、私ここの桜見るの大好きなんだ。桜ってさ、咲いてる時すごい綺麗だけど、すぐ散っちゃうじゃん。束の間の美しさっていうか。そういうのなんかよくない？』

三「確かに。」

『だからね、この時期は嫌でも毎日通うって入学した時に決めたの。』

Aちゃんみたいだ。そんなポエムみてぇなことを無意識に考えちまうくらい、一瞬で惚れた。これが一目惚れってやつなんだと思った。

俺たちは2年も3年も同じクラスになって、次第に話すようになった。そのうち、俺の彼女への気持ちは抑えられずにどんどん大きくなっていくばかりだった。好きだと思えば思うほど、愛おしいに変わっていった。

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