6 ページ6
ガゴン。
恭平がペットボトルを捨てたゴミ箱は、回収されたばかりだったようで、ゴミ箱の底に当たったらしいペットボトルの音は静かな公園に響いた。
「きょ、」
そう声を出して止めた私をゆっくり振り向く恭平。
いつも家まで送ってくれて別れ際に柔らかく目を細めた、あの頃の面影はもう感じられなかった。
いつの間にか呼んでおいたのだろうか、
公園の横にしずかに1台のタクシーが止まった。
「待って！」
「…待てへん。」
そこに彼は私の手を引き近づいて行く。
「そうっす。高校の前の通りの、」
そう私を押し込みながら、タクシーの運転手さんに私の家住所を告げたようで、離れてドアを閉めようとするから私は腕にしがみついてそれを阻止する。
「嫌」
「はぁ？」
「一緒に乗ってって」
面倒くさそうな顔を見せた彼だが、諦めたようで
「そっち詰めて」
と私を奥のシートに行くように施すと、隣に乗ってきた。
＊＊＊
休日に見た高橋くんはなんだか知らない人みたいだった。
私はその初めて見る彼の姿に釘付けになり、自然と目で追ってしまう。
彼のこと、知りたい。
そんな思いが、私の足を動かした。
イヤホンで外の音のシャットアウトしているようで、後ろをつける私の存在にも気づいていない。
同じような通りが続くこの道を迷いなどせず、颯爽と歩くその姿からは、慣れを感じ、この土地に頻繁に来ていることを感じとることが出来た。
まさか、と思った。
働いてる、とは聞いていた。
だけど、そういう所で働いているなんて思いもしなかった。
そんなことを思っていたからか、いつの間にか彼の姿を見失っていて、それはこの目の前の建物のどれかに入ったことを示唆していて。
時間が早いのかまだ光り出していないその看板。
テレビで見かけるもののまさか自分がそこに来るなんて思ってもなかったと、そのアーチ看板をくぐった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 385人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「なにわ男子」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
コロ - ヤバイです。素敵な作品でみいってしまうというか、、、すごく感動しました！こんな神作始めてです！ (2020年5月15日 21時) (
レス) id: b14fc19f6c (このIDを非表示/違反報告)
那都(プロフ) - とても面白かったです！大晴くん推しなので、くっついてくれて嬉しかったです！1つ気になるのですが、あのオーナーは誰を想定していたんですか？私の中では室くんだったんですが、、教えて頂けたら嬉しいです！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: c96a99fffa (このIDを非表示/違反報告)
はらへり - わぁぁぁ！気になります気になります！前回の作品に続いて応援しています！楽しみにしています(^ ^) (2019年6月12日 18時) (レス) id: aacee0baab (このIDを非表示/違反報告)
純鈴(プロフ) - 凄い面白いです！これからの展開にドキドキしてます。更新頑張ってください。待ってます！！ (2019年5月28日 23時) (レス) id: f70ff81fc4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆう
| 作成日時：2019年5月19日 20時
