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「行ってきまーす」
いつも通りを心がけて、玄関の扉を開ける。
夜になって気温が下がって元気になったらしいマルが嬉しそうにしっぽを振った。
「今日は花火だよ」
高橋くんはもうそろそろ来るはずだ。
そう思い、表に出ておこうと門扉を開けると、もうそこには彼の姿があった。
「ごめん、遅かった？」
「全然。それより、俺に引かせてやそのリード。」
リードを引かれた時、少しだけ彼の手と触れる。
途端に私の顔は熱を持つ。
「花火大会、マルの散歩がてら見に行こうと思う」
そう話しただけなのに、お母さんにはなんでかバレてた。
なんでだろって思ってたけど、そっか先週家まで送ってもらったからか、なんて。
今の時期は網戸にしてるから、家の中まで高橋くんの声は聞こえてたんだと。
「この堤防からだと、遠いんだけどなんにも遮られることなく見えるんだよ。」
堤防沿いの土手を上がりきると、途端に開ける空。
先に来てる人もいるけど、ちらほら程度で打ち上げ地点のことを思えば、とても静かだ。
「すごいなぁ。東京にもこんな人おらんとこあったんやなぁ」
家から持ってきたレジャーシートを敷いて座っていると、マルとひと通り遊び終えた彼が隣に座る。
「高橋くんは、いつから東京に来たの？」
「高校やな」
「…ご両親の転勤とか？」
「いや。…別に俺が来たかったから来た。」
「え？…じゃあおうちは？」
「今？ひとり暮らしやけど。」
「…ほんとに？」
よっほど、ひどい顔をしてたんだろう。
「そんな驚く？」
「いや…だって、」
「別に思ってるより大丈夫やで。
こうやって、友だちもいることやし」
「うん…そうだね。」
高橋くんと仲良くなって、一緒に花火まで見てられるようになったのも奇跡みたいなのに、それ以上を望むべきではないのかもしれない。
高橋くんだって、大丈夫って言ってるんだし。
花火がドーンとあがった。
かなり離れてるここでは、花火の花が開いて数秒後に音が鳴る。
マルはかなり驚いたようで、高橋くんに落ち着かせてもらってる。
そんな横顔が驚くほど綺麗だった。
高橋くん、好きです。
私はそんな思いを、花火とともに散らせた。
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コロ - ヤバイです。素敵な作品でみいってしまうというか、、、すごく感動しました！こんな神作始めてです！ (2020年5月15日 21時) (
レス) id: b14fc19f6c (このIDを非表示/違反報告)
那都(プロフ) - とても面白かったです！大晴くん推しなので、くっついてくれて嬉しかったです！1つ気になるのですが、あのオーナーは誰を想定していたんですか？私の中では室くんだったんですが、、教えて頂けたら嬉しいです！ (2019年11月25日 22時) (レス) id: c96a99fffa (このIDを非表示/違反報告)
はらへり - わぁぁぁ！気になります気になります！前回の作品に続いて応援しています！楽しみにしています(^ ^) (2019年6月12日 18時) (レス) id: aacee0baab (このIDを非表示/違反報告)
純鈴(プロフ) - 凄い面白いです！これからの展開にドキドキしてます。更新頑張ってください。待ってます！！ (2019年5月28日 23時) (レス) id: f70ff81fc4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆう
| 作成日時：2019年5月19日 20時
