好き以上、愛してる未満。 (ページ6)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:108,127 hit

▽ ページ6

.

優斗side

「ゆとくん！」

『ふふ、なーに？』

＿＿＿＿

小さい時、ゆとくん！と俺の後ろをついてくる

Aが可愛くて仕方がなかった。

まだ、う、が言えなかった時に覚えた

俺の名前。

妹が出来たみたいで嬉しかったのを

覚えている。

ただただ、可愛かった。

俺に甘えてくるAが幼馴染みとして

大切な存在だった。

俺が中学3年生、

Aが中学に上がった頃だった。

同級生が、"可愛い可愛い"と騒いでいた子が

Aで。

俺は、

急に大人っぽくなったAに、

"可愛い"じゃ言い表せない感情を抱くようにな

っていた。

＿＿＿＿

「大学生活はどうですか？」

『ん〜〜...まあ普通かな』

Aは手でマイクを作るようにして俺の口

に近づけてきた。

弟の前では、お姉ちゃんをしてるのに

俺に対しては無邪気で。

ダメだ。

可愛いが。

好きが溢れてしまう。

『で、お前こそどうなの』

「どう...って、普通、かな？」

『同じかよ！』

軽く頭を小突くと

Aは、ヘヘ、と笑った。

.

『っ、』

「ゆとくん？どうしたの？」

『...や、別に』

「え、何それ〜」

.

視線を感じてAから顔を上げると

悲しそうな目をしたあいつと目が合った気がし

た。

.

ねぇ、A。

いつもいつも、"可愛い"って

誤魔化しちゃうけど。

可愛いとか、好きとか。

そんな、まだ甘ったるい考えじゃなくて。

いつか、お前が知るだろう事を

聞いてしまったあの日から。

気づいてしまったあの日から。

絶対、Aが悲しい思いをする事

は分かっていたから。

ずっと傍にいたいと思った。

幼馴染みじゃなくて。

.

俺がAを

＿＿守りたいって思ったんだ。＿＿＿＿

.