好き以上、愛してる未満。 (ページ32)

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気づけば、夏休みに入って一週間が経っていた。

お母さんとお父さんは、昨日からゆとくんの両親と北海道へ旅行に行っている。

窓の外は大雨。
夏休みは始まったばかりだというのに、気分は下がる一方だ。

「明日は雄登とお出かけなのになぁ」

ぼそりと呟いた。

リビングのソファの上に体を丸めて座り、
テーブルの上のテレビのリモコンを取った。

『姉さん明日どこか行くの？』

後ろを振り向けば、しっかり者にしては珍しく遅くに起きた龍斗が立っていた。

「...ぁ、おはよう。今日遅かったね」

『ん、ちょっと...、夜中まで映画見てた』

目を擦りながら私の隣に座った龍斗。
まだ完全に起きていないみたいだ。

『で。明日どこか行くの？』

「え、っと...雄登とお出かけ...？」

『そ...、何で？』

「な、何でって...選んであげた洋服を、着ている所を見たい、って」

何で、と聞かれた事に驚きつつも
雄登に言われた事を思い出し、伝える。

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『...選んであげた、って何？』

すると、突然鋭い視線をぶつけられて
体がビクリと震えた。

あの優しい龍斗が、何故か私に怒っている。

「えっ、...ど、どうしたの？龍斗、怒って...」

『いいから答えて』

私の言葉を遮って、念を押した龍斗をまじまじと見つめた。

何で、怒ってるの？私何かした？

そう口に出したくても、
龍斗からの威圧が強く、
私は、きゅっ、と唇を固く閉じた。

「...この間、ゆとくんとお出かけするための洋服を、雄登に選んで貰ったの、」

『...は、。優斗くんと二人で出かけたの？...俺、聞いてないんだけど』

「っあ、あのね。...ゆとくんが二人で行きたいって言ったから、」

思っていたよりも私の声は弱々しく、
龍斗の顔をうかがうように見上げる。

『何それ。...優斗くんに何かされた？』

龍斗は私の肩を掴んで、揺らす。

「っ、...何かって、別に...」

変な事はさせていないはずだ。

"おまじない"でほっぺにキスはされたけど。

ゆとくんと過ごした時間は最高に楽しかった。

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『......キスでもされた？』

「え、...」

さっき、目逸らしたよね。

冷たく言い放つ龍斗。

こんなの、龍斗じゃないよ。

『...何も言わないって事は、図星？』

ふは、と何が可笑しかったのか

龍斗は笑った。

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