好き以上、愛してる未満。 (ページ22)

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『は！？ったく...年上を揶揄うんじゃねぇの』

ゆとくんはそう言って私の手を掴んだ。

「わっ...ゆとくん、？」

そして、するりと指先を絡められて

俗に言う恋人繋ぎ。

『はぐれると困るから』

なんて、手を更にぎゅっと握られて。

「う、うん」

『よーし、行くか！』

ふは、と笑ったゆとくんが

繋いだ手を引っ張る。

「どこ行くの？」

『着いてからのお楽しみ！』

「え、教えてよ〜」

『我慢しろって、
Aが絶対行きたい所だから』

「ほんと？じゃあ、大人しく待ってる」

『ん、いい子』

立ち止まって目を細めたゆとくんは

繋いでいない方の手で

私の頭を優しく撫でる。

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そういえば小さな頃は、ゆとくんに

頭を撫でてもらうのが好きだったっけ。

"いい子"って言ってもらえるのが嬉しくて

ゆとくんの後ろをいつも、ついていってた。

そのせいか、今でも頭を撫でられるのは好きだ

し、安心感を覚える。

『...そんな嬉しそうな顔すんなよ、まじで』

「へ、」

『ほんっと、Aってさ...』

「うん、？」

私の頭の上に手を乗せたまま

視線を合わせてくれないゆとくんは

いつもは声が大きいくせに

ぼそぼそと小さな声で話す。

『...可愛すぎて反則』

ため息と共に

合わなかった視線が

やっと合ったかと思えば

『だから、俺以外に頭撫でられるの禁止な』

「っ、ちょっ、ゆとくん...！」

さっきとは違い、雑に頭を撫でられて

髪が崩れた。

「もう、ゆとくんのせいで髪が崩れたんですけど」

『あれはAが悪い！』

「えー、意味分かんない」

崩れた部分を抑えながら、そう言うと

とにかくAが悪い、と

連呼するゆとくん。

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恋人繋ぎにされた手を眺めながら

私はゆとくんについて行った。

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今日だけでも

はぐれると困るから、って口実を作ってでも

恋人気分を味わいたいって言ったら、

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俺の前だけでする顔を

笑顔を

俺だけのものにしたくなったって言ったら、

Aはどう思うかな。

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