あかしさん/さつきちゃん ページ39
最近、毎日によろこびが感じられない。
自分の中にいるもう1人の何かが僕・・・いや、ちがう。オレ、やっぱり僕か?・・・を飲み込む。
バスケも楽しくなくて、もういっそ辞めてやろうかと思ってしまうほどだ。
「・・・はぁ。」
「おっ、よぉ!あーかしっ」
橙野が車椅子のタイヤを回しながら僕の隣に並ぶ。
「あぁ。橙野。」
「どしたんだよ?最近はなんだあれか、Aに会えなくて欲求不満か?」
A・・・彼女ならテツヤを救ったように、この僕の苦しみをわかってくれるのだろうか。
「・・・そんなところか。」
「えっマジかよ・・・実は俺も3時間くらいAに会えてなくて充電切れそうなんだよね・・・」
つくづくこいつが羨ましくなってしまう。そんな醜い感情が僕を充たす。
「あーそうだ。赤司さ、文化祭の日衣装持ってきた方いーぜ」
「衣装?」
「ほら、ワンチャン夜の社交ダンスパーティでAと踊るかもしれねーじゃん?」
A・・・レタス姫と、踊れる?
「そ、うか。わかった。」
「てことで、じゃな!」
珍しく動揺してしまう自分自身に驚いた。
Aは元気なのだろうか。最近はめっきり顔も見なくなって、なんだか急に彼女が愛おしくなった。
「A・・・すまなかった。」
何故自分がAに対して謝りの言葉を放ったのか。それは自分でもよくわからなかった。
────
どうしよう・・・私は途方に暮れていた
『わっ』
「へぁっ!?あ、Aちゃんっ」
『さつきちゃん、さいきん元気なーい?』
「ええっ、そ、そうかな・・・?」
その瞳を見ればなんだか安心する。
『うん。・・・もしかして部活のこと?』
「そんなところかなぁ」
そんなところというより、きっとそれ。
『そっか。』
「うん、でも大丈夫だから!!Aちゃん、心配してくれてありがとうね!」
そう言ってその場から立ち去ろうとしたけど、悲しそうな顔をする名前ちゃんから目が離せなくなった。
『ほんとうに・・・?』
何も、言えなかった。本当は大丈夫じゃないから。
『ごめんなさい。わたしがいる間に、なかなおり、させたかったんだけど・・・』
目を細めて、私の頬に片手を添えて。いつも顔から感情が見えない彼女が酷く寂しそうな表情をしているのが伝わって、私も胸が切なくなった。
「・・・」
『叶わない、かも』
そう言ってゆっくり通り過ぎる彼女の背中をずっと見ていた。
15人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つゆロロ(プロフ) - あひるさん» ありがとうございます。荻原ちゃんの楽器についてですが、お好きなものを想像してください(笑)私的にはバリトンやユーフォなどの低音楽器をイメージしておりますが。初コメントうれしいです!これからもどうぞ、見守ってくだされば幸いです((*_ _) (2017年11月20日 19時) (レス) id: 3fbfa2c7b2 (このIDを非表示/違反報告)
あひる(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!因みに夢主ちゃんの楽器はなんですか? (2017年11月20日 1時) (レス) id: a0a203a011 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つゆロロ | 作成日時:2017年11月7日 0時