BLACK TrackONE【4】 (ページ41)

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Track 49【病児保育】ページ41

Side BLUE

「北斗～今日も幼稚園行けないよ…」

37.6℃。
インフルエンザにかかってやっと熱は下がってきたけど、幼稚園に行けるボーダーラインを0.1℃越えてしまっている。

「いやーっ、ほくとげんきだもん」

「確かに元気だけど…
喘息でちゃうかもしれないしなぁ」

「ほくとひとりでいくからねっ」

泣きべそかいてグズグズな北斗だけど、もう幼稚園の制服を着ようとしている。

「じゃあ分かった、慎ちゃん先生のとこ行こう。
今日空いてるか分からないけど…
俺もどうせ仕事休めないし」

「えぇーっ、くまさんほいくえん？」

「そうだよ、
そしたら、北斗、先生に遊んでもらえるよ」

「でも、こーちいないもんっ」

「優吾くんには明日会えるよ～
(……北斗が元気だったらね)」

仲良しの優吾くんと遊びたかったみたいだけど、
俺はある場所に電話を入れた。

『くまさん保育園の森本です。』

「あっ、急なんですが、今日、5歳男児1名、利用していいですか」

『今日は利用者さん居ないので大丈夫ですよ。
お子さんの病状等お聞かせください』

慎ちゃん先生…こと、森本さんは、スムーズに色んな手続きを取ってくれた。

北斗は体が弱くて、喘息もあるから、風邪の治りも悪くて、時折利用させてもらっているのが、この“ 病児保育 ”ってやつ。
保育園が小児科の病院の隣にあって、看護師さんも付いててくれたりする。

病気のときでも預かってくれるなんて、ほんとに有り難い。

しかも、男の先生ってのも、俺にとっては結構ハードル下がるし、時折育児の相談とかもさせてもらってる。

「いやだ、ほく、いかないもん。
こーちとあそびたかったの。
……よーちえんダメならパパとあそぶもん」

「北斗、……ごめんな？
パパ、今日はお仕事行かないと…」

「じゃあ、よーちえん！」

………だめだこりゃ。

「分かった、じゃあそれ着ていっても良いから、
寒くないようにしてて。」

幼稚園のスモックを着た北斗。
着ていく服は何でもいいんだけど、これ以上は悪化してほしくないからマフラーをグルグル巻にする。

「んぅぅ、……こっちじゃなーい」

……熱あるのになんでこんな元気なんだ？

チャイルドシートで不貞腐れているのは見えているものの、聞こえないふりをしてハンドルをきった。