__ ページ31
Side BLACK
確かに胃は焼けるように熱いのに廊下は寒いし、
何なのかよくわからないけど体が微かに震える。
「んーっ……はぁっ、も…やだ……」
苦しくて苦しくて、優吾に体重をかけて、
溢れてくる涙を止める気にもなれなかった。
「落ち着いた？」
フラフラと支えられながら部屋に戻ると温かい紅茶が用意されていた。
大我にお礼を言って一口飲むと、喉を温かいものが通っていく感覚がした。
みんなの優しさに触れて、
また、…苦しくなって、……意思と反して、
涙がまた溢れてきた。
「……ほくと、
クラスの奴らにイヤなことされたんじゃない？」
ハッとして見上げると真っ直ぐな瞳で樹が俺を見つめていた。
「はぁっ、……っ、いた……ふぅ、…はぁ、」
言いかけたときに突如襲ってくる腹痛。
逃がすように大きく深呼吸。
「……北斗、大丈夫。
少なくとも俺達、北斗の味方だよ」
樹が欲しい言葉を的確にくれる。
「苦しそうな北斗、もう見たくないから話して？
……体調もそうだけど…北斗の心が心配だから」
ギューッと抱きしめられて、
また、わんわん泣いてしまった。
少しして、今までの経緯を話した。
そして俺はハッキリと告げた。
「……だから、学校行きたくない…」
「北斗、…ごめん。気付いてやれなくて」
優吾がそう謝ってきて首を横に振る。
「……謝るのは俺じゃん。体弱くて。
また皆に迷惑かけて…ワガママ言って…」
キリキリキリキリ、また腹痛がする。
なんでこんなに弱いんだろう。
「…ばか。北斗、頭良いけどバカだよ。
誰よりも辛抱強いよ、北斗は」
大我から、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
「そうだね」「うんうん」とジェシーも慎太郎も頷いて、優吾と樹からは泣き顔を笑われた。
「…学校のことは少し考えよう。
明日は一日休んで体調整えないと。」
樹は何で気付いたのかよくわからないけど、
双子のかんってやつらしい。
そして、兄弟に話したところで
現状は変わらないのだけれど、
「…お腹痛い、」
「うん、」
「…しんどい、」
「うんうん、」
「…気持ち悪い、」
「そだね、辛かったね」
兄貴達に身を預けて
「そうだ、お腹痛いよね！薬！」
「湯たんぽ！あたたかくしなくちゃっ！」
従順な弟たちにお礼を言って。
この暖かさにずっと触れていたくて、
少しだけ、明日が楽しみになった。
Fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 757人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あーちゃん
| 作成日時：2020年9月3日 21時
