検索窓
今日:21 hit、昨日:60 hit、合計:325,419 hit

__ ページ3

Side BLACK


酸欠のためか頭痛が激しく、くらくらする感覚は残ったまま、俺はいつの間にか寝室のふかふかベッドに戻っていた。

お華のお稽古もするはずだったのに…
その後は、ジェシーが作ってくれるお菓子を一緒に食べるはずだった。

ジェシーはうちのコックであり、樹も料理を習っていた。

樹は凄い。
お掃除も得意だし、アイロン掛けも包丁も上手。
俺は、ジェシーと一緒に調理台に立つ樹を見るのがとても好きだった。

きっと今頃夕飯を作ってるだろう。

そう思って、俺はパジャマの上にタオルケットをポンチョのように羽織って、寝室を出た。



「今日はpuddingにしようか、Ahaha
……樹さんまだ怒ってるんですか〜?」



ぷくっと頬を膨らませた樹は、小さなコック帽をジェシーから頭の上に乗せられて、キッ!と目を細めて怒った顔をしていた。



…もう北斗なんかいなくなっちゃえ!!



さっきの言葉が頭の中で反復された。
俺がいなくなれば、樹はまたプリンを焼いてくれるだろうか。


だって樹の作るプリンは皆も大好きだから。
俺は食べられなくなるけど……


そう考えると頭がズキズキと痛んだ。


でも俺のせいで、みんなが食べれなくなるのはもっと嫌だ。


胸のあたりもまたズキズキと痛んだ。
それが『心』だってことを、小さな俺はまだ知らなかった。






樹と見つけた小さな俺達だけが通れる秘密の抜け道。廊下でメイドや執事に会わなくて良かった。


走って走って走って、何度か苦しくなりながらも、ポケットから薬を出して対処して、ひたすら歩いた。

「うっ、……はぁ。、………いったぃ」

頭がクラクラする感覚から頭痛が酷くて、ご飯も食べてないから気持ち悪くなって、立ち止まる。

ヘトヘトになってしまった俺は、太陽から逃げたくて、桟橋の下に入った。



「うぅ、…はぁっ、………ここどこ……?
……じゅり……グズッ」

痛くていたくて、苦しくて。寒くて。
ブランケットの中で身を縮めて震えていた。



「はぁっ、…はぁ、ひゅっ、!ケボッケボッ!」

息を吸うたびに、苦しくなって、ポロポロ泣きながら咳をする。その勢いで嘔吐しそうになって、でも上手くできなくて、俺は、意識を手放した。

___→←_



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (299 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
757人がお気に入り
設定タグ:SixTONES , 松村北斗 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あーちゃん | 作成日時:2020年9月3日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。