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LockLock《リク》 ページ29

Side PINK


エレベーターの扉が閉まりかけていたのを見つけて、遅刻しかけていたのもあって、反射的に小走りする。
その足音で気付いてくれた中の人が、扉の「開」ボタンを押してくれたらしい。

「…あ、…おはよ。ふふっ、ありがとうね」

扉が完全に開かれて、中の人が言いたいことはすぐに分かった。思わず俺は笑ってしまう。

“ゲッ…京本かよ”

そんな顔の北斗は、小さく頷いた。マスク越しでも分かる少し照れた顔。



エレベーターが上昇するこの感覚が俺には結構好きなものの一つ。
この高層ビルだからこそ、その感覚は長く続く…はずだった。

「うぉっ!」「え、なに!?」

思わず、壁に手をついて、突然、急降下するエレベーターに二人して変な声が出る。

「と、とまった。え、止まったよ!?」

パニックで俺は、ヘナヘナと座り込んだ。


なんてったって、北斗のいるほうにエレベーター傾いてるから。

「何が起きたの、」

ドクンドクンと互いの鼓動が聞こえるんじゃないかと思うほど、心臓バクバク。

「ッ、北斗。ケガない?」

「だ、大丈夫。お、俺、立ち上がるよ?揺れるかも」

北斗がせーので立ち上がる。

「うわっ!」

やっぱりエレベーターは揺れて、俺は北斗のいるほうへと体がずりずり。重力に逆らえない。



「あの、すみません!誰か!」

北斗は非常ボタンに話しかけた。

俺も立ち上がって、二人でもしもし!と叫ぶけど、返答がない。



「どうしよ…何があったのかな…」

さすがにこれはまずい。スマホは例によって圏外。



暫くすると、北斗は息を詰まらせて、そのあとハァハァと大きな深呼吸を繰り返す。
俺も斜面に立っているのが辛くなってきたから、北斗に声をかけた。

「北斗、こっちきて座って。俺によりかかって良いから」

少し震えた手。俺でこんなに怖いんだ。北斗もそうだろう。

「ちょっと、はぁ。…くる、しい、かな。…今。急に、変っ」

胸に手を当てる北斗。…動悸か。少し冷や汗をかいていて、急なことに俺も少し戸惑う。
心因かもしれない。




もぞもぞ動く北斗。それにつられて横に揺れ動くエレベーター。


____ドンっ

「ん?」

_______ガタガタガタガタ

「なに!?」

俺は叫んだ。だって縦揺れに変わったから。そしてそれが30秒ほど続いた。


「…地震、かも」

揺れが収まり北斗がそう言った。

「マジかよ…」




きょもほく、縦揺れの地震でやられた高層ビルのエレベーター内に閉じ込められました。

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あーちゃん(プロフ) - Sakuさん» お楽しみいただけて何よりです〜こちらこそ、ありがとうございます!LOCKLOCK続編もお楽しみに〜 (2019年10月13日 23時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
Saku(プロフ) - BLACK読ませていただきました!最高でした!ありがとうございます またたまにある黒田先生との絡み楽しみにしてますね笑 これからも無理なく更新頑張ってください! (2019年10月13日 17時) (レス) id: 6e7b6bb8a7 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - ななさん» ありがとうございます〜♪はい!是非ともパート3でも遊びに来てください!嬉しいですー!頑張ります(^^) (2019年10月12日 7時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました。辛くて切ない中にも、みんなの優しさやあたたかさを感じられてとても素敵なお話でした。移行先でもあーちゃんさんの小説を読めるのを楽しみにしております。 (2019年10月11日 22時) (レス) id: e1e336f268 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - くりさん» ありがとうございます〜!けっこう難しかったですが、私も楽しみながら書かせてもらいました!またお願いします〜 (2019年10月8日 6時) (レス) id: fc9b1a9ec8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーちゃん | 作成日時:2019年9月20日 12時

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