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ここにいれば衣食住には困らない。
これ以上の事を求めるのは贅沢だとわかってる。
自分は恵まれているんだと何度も言い聞かせた。
しかし。
「無理…もう無理…」
頭がおかしくなりそうだ。
この生活はいずれ私の心をダメにする。
「逃げたい…」
島からの脱走が頭をよぎる。
ただこの世界の事を何も知らない私にそれは可能なのか。
海に出られたとしてその後はどうするのか。
逃げる事を優先するなら荷物は最小限にした方が身軽になる。
逃げた後の事を考えると食料は必要だが身軽ではなくなる。
何が私にとって最善策なのか。
「考えるの疲れる…」
この状況を打破する方法を考える。
それを放棄した時。
私の心は死ぬんだろうな。
「凄い風…」
換気の為に午後だけ解錠を許されたベランダの扉。
ベランダに出れば風と共に潮の香りが私の鼻をかすめる。
恐る恐る視線を下に向けるとそこは断崖絶壁。
ここから飛び降りれば全てが終わる。
苦しみから解放される。
「いや…まだ…」
今はまだその時じゃない。
これは最終手段。
万策が尽きた時は死と言う形でこの苦痛を終わらせよう。
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「私の名前は…」
希望は捨ててない。
心は死んでない。
「誰か…読んでくれますように…」
無謀な事だとわかってる。
でも外部にＳＯＳを伝えられる方法はこれだけ。
私は手紙を瓶の中に入れるとベランダから海に投げ入れた。
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作者名：トモ | 作成日時：2023年1月27日 16時
