70日目。 ページ43
無言のまま手を引かれて歩く。
何を言ったらいいのか全然分からないけど、安心と緊張が相まって胸が苦しい。
やたらと心臓をうるさくさせている私に対して、イルミはいつもと変わらない雰囲気のままだ。
うう、だめだ、どうしようもない。私はイルミに本気で惚れている。
「……あのさ!ありがとう、ほんとに」
「ん」
「あとあの、好き」
「……」
ただ掴まれていただけの手がそっと握られる形になったのが分かった。
冷たくて大きな手だ。
最初は逃げるようなペースだった歩みも、今では随分ゆっくりになっていたらしい。
普段じゃ考えられないような遅さで手を繋いで歩いて、これじゃまるで――。
「い、今の私たちって、まわりから見たら恋人に見えてるかな?!」
「……思ってたより元気そうだね」
「い、いやー、元気出た!!超出た!!イルミが来てくれたから元気出た」
「はいはい」
わざとふざけたことを言ってみたけど、いつもなら振り払われるであろう手が今日は振り払われない。
なんだろう、すごく恥ずかしい。どうして急にそういうことをするんだろうか。手のひらで転がされている感が半端じゃない。
対するイルミは、手のことなんてどうでもいいかのように前を見て歩いていた。
♢
……ついにここまで来たか♠
いつかそうなる気はしていたけど、思ったより早かったな♦
あとはイルミ次第だ、そうすれば彼女はイルミにとって大切な人になれる。そうすれば僕も――♥
来るであろう未来を思い描いて、奇術師は一人笑った。
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バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時