【H×H】イルミと結婚したい情報屋。2

70日目。�� ページ40

気がつくと、知らない部屋で縛られていた。
うう、まだ頭が痛い。


朦朧とする意識の中でも思い浮かぶのはイルミのことだ。
書き置きに気づいたかなとか、マジで四時に来たのかなとか。

しかし、そもそも今回、イルミが私を助けにきてくれることはないと思う。
前回のゴタゴタの時は、ぶっちゃけ原因がイルミだった。
だから、無償で助けてくれた。
でも、今回は何のために攫われたのか私自身が分かっていない。

それに、私は本当は自信が無い。
実家は遠くて、友達も遠くて、情報屋仲間も微妙に頼りにできない。

ここ最近一番多くの時間を一緒に過ごしているのはイルミ。
でも所詮は私の一方的な片想いで、イルミが何を考えているかなんて、私にはさっぱり分からない。
イルミの言葉とか行動の端っこにちらっと見えるデレと、シャルナークさんからのアドバイスを頼りに、私は生きているのだ。


♢


意識がハッキリしてきた私は、まず縛られていなかった脚で床をガンガンたたいた。

とりあえず誰かと話さないと、何にも知らない状態で放置されておくことになる。
それは情報屋的にまずい。
ペンは剣より強し、って言葉があるけど、現状把握ができなければペン、つまり情報や知識は武器にすらならないのだ。

そうしてガンガンたたき続け、足が痛くなってきた頃に、ようやく部屋の外から怒鳴り声が聞こえた。


「おい、うるせえぞ！なんの騒ぎだ！」

「外に出たいから騒いでただけだ！」

「出すわけねえだろ馬鹿かお前！」

「まあそうだろうけど！なんで私はここに連れてこられたのかな！！」

「んなこと知らねえよ！」

「――はあ？！」

「ボスがやたらと情報屋を集めてるんだ！俺たちはそれに従ってるだけで理由までは聞かされてねえ！」

「な、なんだそれ？！」

「だがボスの言うことだからな！世のため、人のために決まってる！！」

「……馬鹿かお前！」

「なんだと？」

「他人に薬盛って誘拐しといて何が世のため、人のためだ！！大体情報が欲しいならちゃんと金払って契約しろー！！！」

「っち、いちいちうるせえやつだな騒ぎやがって…！！俺みてえな下っ端が詳しいことなんか知るわけねえだろ！俺はもうそろそろ行くからもう一回寝てやがれ！」

「んな無茶苦茶な……あっ？！」


部屋のどこかからまたあの霧みたいなのが流れてくる。
薬だとは思うけど、ここまできたら毒に近い。
気がかりなことは色々あったけど、体が限界のようで、私はもう一度意識を手放した。

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