65日目。 ページ34
「そうだ、随分と大胆なこと言ったんだってね♥」
「何の話?」
「自覚なしかい?情報屋ちゃんのことだよ♣」
「あぁ……大胆でもないでしょ、事実だよ」
「おっと、これは予想外の反応♦」
「あくまで事実を言っただけだからねー。本当に、今のままじゃあいつが煩くてそういうことが頭に入ってこないし」
「ふぅん♠」
「普段、好きだ結婚しようと煩い癖に、いざ俺が別の人間とそうなりかけたところで、必死に追いかけるそぶりも見せない」
「……そこはそうでもないと思うんだけど♦」
「はあ?」
「いや、別に♠」
「……それに、未来が想像できない」
「うん?」
「想像できる唯一の未来は、このまま“殺し屋と情報屋”としてギブアンドテイクの関係を続け、家のためになるように結婚して、俺の後継のことと仕事に専念することだ」
「……♦」
「それで、あいつとの縁が切れるわけじゃないしね。本来はそうするべきであり、それしかない。……でもさあ、妙に納得いってないんだよね。俺にしちゃ珍しく家に従ってないのもそれでだよ。だが」
「?」
「それはあくまで俺個人の感情に基づいたものだ。優先されるべきものではなくね」
「そう♠」
「そうだよ」
「それが、愛は受け取らない癖にあの場所に通い続ける理由かい?」
「……そうなるね」
「――♦」
――ほら、もう答えは出ているじゃないか。
たとえギブアンドテイクの関係であっても、縁は切りたくないと。
今の話はそういうことだろう。
それでもただ繋がっているだけでは納得できないと。
そして、それならばその時点で、普通ならとうの昔に答えは出ているはずなのだ。
だというのに答えが出ない理由はイルミの精神にあり、職業にあり、とりまく環境にあり――。
キリが無かった。
面白半分で首を突っ込み、場合によってはイルミに喧嘩を売るために殺してやろうとすら思ったあの情報屋。
その必死さについ構ってしまい、呆れ、いつの間にか柄にもなく割と真剣に相談に乗って……それで。
どうやら彼女に絆されているのは目の前の男だけではないらしいが、自分のそれは彼が抱く想いとはまたベクトルが違う。
どうするかは彼ら次第であり、それは僕が気にしたところでどうにもならない。
それでも彼はイルミが立ち去った後、いつもの笑みでもう一度呟いた。
「もう答えは出てるじゃないか♠」
♢
「今日も好き!結婚しよう!」
「はぁ……」
「ため息が見事すぎるでしょ」
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バナナ - とっても最高でした!!有難うございます!!更新待ってます!! (2022年9月20日 2時) (レス) id: e7b90db1c1 (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - 孤歌さん» ありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです……!これからもよろしくお願いします! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
どらやき(プロフ) - みーたんさん» コメントありがとうございます!ぜひ続編でもお付き合いいただけると嬉しいです! (2018年7月3日 23時) (レス) id: a2747e3aed (このIDを非表示/違反報告)
孤歌(プロフ) - 初めまして凄く面白いですね!更新待ってます(゜∇^d)!! (2018年7月1日 15時) (レス) id: 5a595ce298 (このIDを非表示/違反報告)
みーたん - 一言で言うとやばすぎますね (2018年6月24日 20時) (レス) id: 46104a2fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どらやき | 作成日時:2016年1月24日 18時