第一話【異常と秘密】 ページ2
朝日が昇るにはまだ少し早い時間帯
外は暗く春風が吹き荒れる音のみが聞こえる｡
そんな中
習慣なのか、彼女はいつもと全く同じ時間に起き出した｡
隣の部屋で眠る義母、緑谷引子を起こさぬよう彼女は【いつも通り】今し方自分が眠っていたベッドから降り身支度を始める
その一連の行動に淀みは一切なく、これは彼女の習慣である事が読み取れる｡
だが、他人が見たならば少しの違和感を覚える事だろう｡
布が擦れる音、ベットが軋む音、床を踏み歩く音、日常生活では必ず聞こえて来るはずの音、そのどれもが彼女からは聞こえなかった｡
武術の達人でも、中々出来ることではないはずの事を彼女は出来てしまっている
さも、当たり前で有るかのように……
まだ、齢十四歳という若さで彼女、胡蝶しのぶはそれを何ら苦とせず生活しているのだから、達人たちがこれを見たら卒倒すること間違いないだろう｡
また、しのぶはこの無音を誰にも悟られずにこなしていた
学校での友人や教師、幼馴染みだけならまだしも一緒に暮らしている引子ですら分かっていないのだ
同じ空間にいれば普通なら気づくとまでは行かなくとも違和感位は抱いていても不思議では無い
はずが、引子はその違和感すら抱いていなかった｡
否、抱かせなかった
しのぶはそれを故意に行ったのだ
己の異質さを理解しているからこその行動だった｡
元来、人と言うのは�牋枉鎰瓩魎�み嫌う
だからこそ、差別があり、周りの和から外れる者を訝しむ｡
いわば、目立つということだ
それは、しのぶにとって大変厄介極まりない事だった
だから隠した
目立たぬよう、己の異質さを知られぬよう偽った｡
(私はここの人達とは違うから)
知られてはいけない、己の秘密を……
しのぶは日課のランニングを終え、自宅であるマンションの中庭にてフェンシングに使われるフルーレを持ち素振りを行った｡
その剣裁きは見事で、軽やかな動きは蝶を、洗練された一太刀は獲物を仕留める蜂を思わせた｡
ふぅ、と息を付き動きを止める
一呼吸置いて､構えを取る
朝故に誰もいない静かな中庭に呼吸音だけが響き､相当な肺活量を持っていることが分かる｡
次の瞬間
しのぶは元いた場所から数十メートル離れた位置に佇んでいた｡
数十という距離を一秒にも満たない間に移動することは不可能だ
そう不可能だ｡
常人ならば……
しのぶは常人では無い
人で有りながら人の枠を超えた剣士
�狒粟き�
それが、胡蝶しのぶの異常であり
秘密である……
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ムツキ(プロフ) - めっちゃ面白いです！続き楽しみにしてます！！ (2022年12月14日 17時) (
レス) @page25 id: b50fa5a21f (このIDを非表示/違反報告)
ひな - 面白いです！！続きを待ってます^^* (2020年6月9日 2時) (レス) id: 1862683d0e (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃる - 早く続きが読みたいです〜(´・ω・｀) (2020年4月13日 23時) (レス) id: 0104fff50a (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - はい(≧▽≦) (2020年2月28日 4時) (レス) id: 14d7fd66da (このIDを非表示/違反報告)
Chess - ありがとうございます!とても嬉しいです!更新は今頭の中でこねくり回してるので待っていて下さい(；´Д｀)更新する気は滅茶苦茶あります!!落ち着いたら亀更新再開しますので気長に待っていただけたら幸いです！！！ (2020年2月27日 23時) (レス) id: 1b7412e958 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chess | 作成日時：2019年8月13日 1時
