□ 何かご予定は？ ページ20
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(どうしてこなった……)
爆豪勝己は緊張した面持ちで、目の前の人物から注がれる好奇心溢れる視線に耐えていた。
真っ白な雪のように美しい艶のある髪。
血色は良いが、ほの白い肌はどこか儚げな印象を与える。
彼女はクリーム色のカーディガンを病院着の上に纏って、Aによく似た──いや、A“が”よく似た笑顔を浮かべていた。
「はじめまして、爆豪勝己君。焦凍とAの母です」
Aの母──轟冷は優しい声で爆豪に微笑みかける。
「……どうも」
手の中にじわりと汗を感じて、固い表情のまま返事をした。
＊＊＊＊
なぜこんな事態に遭遇したのか……、それは前日のこと。
土曜日の授業を終え、自分の部屋でAとダラダラと過ごしていた時だった。
壁に背をつけてベッドに座り、それぞれ興味のある雑誌を広げて読む。
静かな空間でAは「あ」と声を出した。
「勝己君勝己君。焦凍から聞いたんだけど、明日の仮免補講はお休みなんだって？」
「ん」
「何かご予定は？」
「部屋でゴロゴロする」
てめーと一緒に。
と、雑誌を置いて隣にいる恋人の腰に手を回して引き寄せた。
Aはくすくすと笑って肩に頭を預けた。
「あのね、ラーメン奢る約束してたの覚えてる？」
「あ？ あー……合宿前の」
「そう、それ！ 明日どうかなっって」
Aが病院までついてきてほしいと言った時に、条件として爆豪が提示したものだ。
すっかり忘れていたが、Aは律儀に覚えていた。
「それとね。先週、カーディガンをお母さんのところに忘れてきちゃったみたいで……」
「あ？ だから着てなかったんか」
「実はそうなんです」
衣替えをしたのでカーディガンは必要なくなったが、やっぱり着ていないと落ち着かない。
「他のと一緒にクリーニングに出しちゃったのかなって思ってたんだけど、戻ってきた服の中になかったし。病室が暑くて脱いだ記憶があるから、きっとお母さんのとこかなって」
「ンで？ それをついでに取りに行きたいと」
「ご名答。定期切れちゃったから、電車代かかっちゃうんだけど……」
と、Aは変なところで気を遣う。
「は？ 別に気にしねーよ」
「なんなら勝己君は後から出て、ラーメン屋さんで待っててくれても──」
「一緒に行くっつってんだろ」
彼女と出掛けるのに交通費を気にするような、懐の小さい男に見られてたまるか。
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文月 - 初めまして。すごく素敵な作品でここまで一気に読んでしまいました！！絵もすごく好きです！！！ (2018年9月28日 11時) (
レス) id: 14f4662f66 (このIDを非表示/違反報告)
瑠嘉 - リクエスト答えていただきありがとうございます。 (2018年9月16日 15時) (レス) id: efb6f4c834 (このIDを非表示/違反報告)
∞Aria∞(プロフ) - 絵のかっちゃん好きすぎる…夢主可愛すぎる…サイコー…… (2018年8月31日 20時) (レス) id: 77272a15db (このIDを非表示/違反報告)
舞華 - ほんっとうに絵がお上手ですね！羨ましいです！ (2018年8月31日 0時) (レス) id: 388f25156a (このIDを非表示/違反報告)
瑠依(プロフ) - イラストが変わってるの凄く良いです！カーディガンのシチュも好きです！あとTwitterやってますか？ (2018年8月31日 0時) (レス) id: d76a55fa5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑪瑙 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2018年8月10日 21時
