雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ44)

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同情の視線ページ44

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翌日、Aは相変わらずＡ組の教室に顔を出していた。
八百万に作ってもらった予備の椅子に座り、兄の腕に絡みつく。

「Aさん、大丈夫なの？その、昨日の今日だし……」

心配な顔をした緑谷が、Aのことを慮って尋ねた。

「心配してくれてありがとう。もう大丈夫だよ」
「そう、よかったぁ……」

怖い思いをしたといえばそうなので、昨日はいつも以上に兄に甘えた。

駄目元で焦凍に「今晩一緒に寝ても良い？」と我が儘を言ってみたところ「今日だけな」と久々に布団を並べて寝たのだ。

やったね☆と心の中でガッツポーズできる程度に図太い神経をAは持っていた。
おかげでぐっすり眠れたし、寝起きもすっきりだ。

「いやぁ、あの時は個性が出せなくて本当に焦ったよ～」

今だって昨日のことも笑って話せる。

「それにしてもまさか教室を爆破するなんてね。まぁ、それで事件の隠蔽が難しくなったんだしね」

あえて大事にすることで、周囲の目を引きつけて菊見が逃げられないようにしたのだ。

「さすが爆豪君だねぇ」
「いや……あれは。ええと……」

話を聞いていた上鳴が何か言いたそうに口を開いたが、それ以上の言葉は出てこなかった。

更衣室で電話に出た爆豪は着替えの途中であるにも関わらず、もの凄い勢いで飛び出していったことを男子は知っている。
その数十秒後に爆音がしたので、何ごとかと騒然となった。

そして事件を知ったＡ組は確信した。
爆豪はAに好意を寄せている──と。

「あのさ……Aちゃんって爆豪のこと、どう思ってるの？」

上鳴の質問に教室中の人間が聞き耳を立てた。
緑谷なんかは「え！？そんな直球に……っ！？」なんて焦っている。

「爆豪君？」

一同がドキドキする中、Aはにこりと笑顔を見せた。

「そりゃあ感謝しかないよ。気まぐれでも助けに来てくれたんだから～」
「あ……そ、そう」

ニュアンスの違う返答に戸惑うクラスメイトの視線は自然と焦凍へ集まった。
その意味を察した焦凍は目を伏せて首を横に振る。

いまのところ脈はない、と。

そこへ本人が教室に入ってきた。

「あ、爆豪君おっはーよ！昨日はありがとね！」
「……あン？」

明るくお礼を言うA──ではなく、クラスメイトから注がれる同情の視線に、爆豪は顔をしかめた。

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