雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ37)

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不審ページ37

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Aが目にした人物は、連日自分を追いかけ回していた菊見だった。
咄嗟に爆豪の背中に隠れる。

「オイ。離れろ」
「し、静かにして……っ」

できるだけ身を潜めて爆豪に静かにするよう求めた。

入って来た菊見はキョロキョロとあたりを見回していた。
もしかしたら探されているのかもしれない。
恐怖を誤魔化すため、爆豪のシャツをギュッと握りしめた。

「てめー、いい加減に──……」

意味不明な行動をとったAを引き剥がそうと爆豪は手を伸ばした。
しかし何かから身を隠すように背後で縮こまっている姿を見て、動きを止める。

「おや、君は……Ａ組の爆豪だったか」

下にいた人物──菊見が爆豪を見上げて名前を呼んだ。

「ちょっと聞きたいんだが、ここに経営科の──いや、君に聞いても無駄だな」

一方的に話しはじめたかと思えば、途中で言葉を止めて屋上から出ていった。

「もう行った？行ったよね？はぁ～～……びっくりした」

爆豪の背後から覗き込むようにして確認する。
“経営科の”とか言ってたのでやはりAを探していたのだ。
隠れて正解だった。

「なんだアイツ。人を舐め腐ったような目で見やがって」
「経営科に来ている教育実習生なんだけどね。私、あの人苦手……ていうか、嫌い」
「あン？ ……珍しいな。てめーがそうやってはっきり言うの」
「だって、毎日毎日試験対策の補習するぞ～って言ってきてさぁ。点数稼ぎかなんなのか知らないけど迷惑なのよね～」

我慢できずに愚痴を口にする。
たまっていたストレスが爆発する前に誰かに言いたかったのだ。
心配してほしいとかじゃなくて、ただ話を聞いてくれればそれで良い。

「今もしつこく探してたしさ……。私、目をつけられることしたっけ……？」

真面目な話だとしても、爆豪なら面倒くさがって相手にもしてくれないだろう。
その点を言えば愚痴相手としては気が楽だ。

スッキリした気持ちでパンを頬張ろうとすれば、いきなりバシッと背中を叩かれた。

「きゃぅっ！」

持っていたパンを落としそうになった。
爆豪は何か言いたげではあるが、無言で叩き続ける。
痛くはないが暴力反対！

「ちょ、なにっ？」
「お前……」

手を止めた爆豪が口を開いた。

「ん？」
「――っ、汚れてんだよ！！きったねーなァ！」
「え！？うわぁ、最悪……このカーディガン、結構気に入ってるのに～」

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