雪と炎のシンフォニー２【爆豪勝己】 (ページ24)

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不安ページ24

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Aは屋上で風に当たって都会の景色を目に映していた。

保須市の方向を眺めて兄のことを思っていると爆豪が現れた。
そしてAに言う。

──もっと騒ぐと思ってた。

職場体験中でなかったら彼の言う通りだっただろうが、今はそうは言っていられない。

ヒーローという職業を選んだからには、危険と隣り合わせであると同義。
怪我をしたからって、それでいちいち取り乱していては身が持たない。

「分かってても、それができてねーんなら意味ぇな」
「うぅ……」

爆豪は鋭い言葉を容赦なく放つ。
慰めの言葉もなくこうやって追い討ちをかけてくるあたり、この男は本当にブレない。

「半分野郎はどうなんだ？大したことねーんだろ？」
「…………電話、なかった」
「は？」
「毎日、夜に電話がかかってきてたのに……昨日はなかった」
「きめェ……」
「うるさい」

爆豪をキッと睨みつける。

「……だったら、お前から電話すりゃいーじゃねぇか」
「怪我してたら？意識がなかったら？私……職場体験なんて放って焦凍のところに行くよ？」
「自制しろ。将来的にヒーロー事務所で働こうとしてるんじゃねーのかよ」
「だから我慢してるの！」

手すりに額を押し当て、それを握る手に力を込める。
今だってすぐに会いに行きたい。

どうして一緒に父親の事務所を選択しなかったのかと、後悔ばかりがぐるぐると巡っている。

「あ゛ーーもうっ、面倒くせーーなァっ！！来い！！」
「え？ちょ、なに！？」

いきなり大声を上げたかと思うと、Aの手首を掴んで手すりから引き離した。

そのまま屋上を後にする。
エレベーターで１階に下りてビルの外へ。

そこには社用車に用を告げるベストジーニストと、Aの指導担当の寺村がいた。

「頼んだよ、爆豪君。我々はやらなくてはならない仕事がびっしりなので、これは君にしか頼めない」

言いながらベストジーニストは爆豪に紙袋を手渡した。

「……チッ。おら、とっとと乗れっ」
「え？」
「もっと奥につめろ」
「え？え……？」

無理矢理に車に押し込まれ、さらに奥へと追いやられる。
爆豪が乗り込むとパタンと扉が閉まった。

何も分からぬまま車はゆっくりと走り出す。
窓の外でベストジーニストは片手を上げ、一緒にいた寺村は笑顔で「いってらっしゃい」と手を振った。

(え……？なに、どういうこと？)

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